睡眠負債とは毎晩必要な睡眠時間と実際にとった睡眠時間との差を計算することで求められる。
ほとんどの成人は少なくとも7時間の睡眠が必要で、夜に少しでも長くテレビを見れば睡眠負債が増えることになる。これは全体的な健康にとって好ましくない。
睡眠負債が多いと高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病など多くの健康問題につながる。また睡眠負債は交通事故や転倒(特に高齢者)のリスク増大にも関係している。
テレビはブルーライトを発している。このタイプの光は概日リズム(睡眠と覚醒のサイクル)を乱すことが知られている。
ブルーライトの影響はメラトニンの生成を抑制することで起こる。メラトニンは睡眠をとる時間であることを体に知らせるホルモンである。
2022年のシステマティックレビューによると、ブルーライトに当たることで「睡眠の質や時間が減少するなどの悪影響を及ぼす」可能性があるという。
夜遅くにテレビを見ると「入眠までの時間が長くなり、急速眼球運動(レム)睡眠が減少する」可能性がある。
レム睡眠には感情の処理や記憶の定着など多くの回復機能がある。鮮明な夢を見るのもこの睡眠段階である。レム睡眠が不足すると、感情の制御や記憶力に影響を及ぼす可能性がある。
眠りにつく直前にテレビを見ることはうとうとするまでの時間に影響する。さらにテレビをつけたまま眠ると、深く穏やかで回復作用のある睡眠の妨げにもなる。
テレビは脳を刺激する。脳の活動が活発になるとリラックスできなくなる。就寝前の電子機器の使用が入眠までの時間や睡眠時間、睡眠の質に悪影響を及ぼすことは数多くの研究で明らかになっている。
テレビをつけたまま眠りにつくと脳は刺激を受け続ける。眠る前に見る映像も、眠っている間に聞く音も睡眠に影響を与える。
Dreaming誌に掲載された2016年の研究によると、私たちが見るコンテンツは夢にも影響を与えることがわかった。例えば暴力的なコンテンツを見る人は、暴力を伴った夢を見る可能性が高い。
2019年の研究では、テレビなど何らかの人工的な光をつけながら寝ている女性の肥満リスクが高いことがわかった。
35歳から74歳の女性43,000人を対象としたこの研究では、テレビ(またはライト)をつけたまま寝ている人は、研究期間中に約11ポンド(約5kg)以上太る可能性が17%高いことがわかった。
2023年に行われた最新の研究では、夜間に明かりをつけて寝る人は明かりをつけずに寝る人に比べて肥満になる可能性が40%高いという結果も出ている。ただしこのデータは高齢者に限られたものである。
体重増加は概日リズムの乱れが代謝に与える影響などを含め、さまざまな理由で起こる。
テレビをつけたまま寝ると高血圧のリスクが高くなる。光と音は睡眠を妨げホルモンの分泌を変動させる可能性が高く、その結果として高血圧につながる可能性がある。まとめると睡眠時間が短いと血圧が上昇する危険性があるということだ。
それどころか時間帯に関係なく、テレビを見ること自体が高血圧や高コレステロール値につながっている。
2010年にハムスターを対象に行われた研究では、睡眠中に薄暗い光を浴びたハムスターは脳の海馬に変化が現れ、それがうつ病の症状につながることがわかった。以前にマウスで行われた研究でも同じ結果が出ている。しかしこれらの結果は人間にも当てはまるのだろうか?
2022年のシステマティックレビューでは、スクリーン時間の増加がどのように身体的、心理的健康の悪化を引き起こすかを調べた。その結果、テレビやスマートフォンを含むスクリーンタイムは「睡眠の質、不安の原因、抑うつ感情、自尊心に関する問題、そして身体的問題」にも影響することがわかった。
一般的にテレビを見ることはストレスレベルに影響を与え、不安感や抑うつ感を増大させ、不眠症につながる可能性があるとPsychology Research and Behavior Management誌に掲載された2021年の研究で結論づけられた。
さてデメリットを踏まえた上で、次にメリットについて説明しよう。確かに人によってはテレビをつけたまま寝ることにメリットがあるかもしれない。そのひとつは好きな番組や映画を見ることで緊張をほぐし、ストレスレベルを軽減できることだ。
テレビで好きなものを見るとコルチゾール(ストレスホルモン)のレベルが下がり、気持ちが落ち着くことがいくつかの研究でわかっている。
これは特に自分にとって馴染みのある番組や映画に当てはまる。生放送のニュースやアクション映画ではなく、軽い雰囲気の番組やコメディを選ぼう。ストレスレベルが下がれば睡眠にも生活全般にも良い影響がある。
テレビはホワイトノイズを発生させる。このような音は眠りにつくまでの時間を早めてくれる可能性がある。
2017年の研究では、ホワイトノイズを聞くと「一般的な環境騒音に比べて入眠までの所要時間が38%と大幅に短縮される」ことが明らかになった。
テレビでコンサートを見ながら眠りにつくことで睡眠の質が向上する可能性もある。とりわけクラシック音楽にその傾向が強い。
提供元:(Health Digest) (Health) (Sleep.com) (Healthline) (Sleep Foundation) (Mayo Clinic) (National Heart, Lung, and Blood Institute)
多くの人が自宅にテレビを持ち、寝室にもテレビがある。テレビを見ながら眠ってしまう人は珍しくない。寝室以外の場所でテレビを見ている場合はそれを寝る合図としてベッドに向かう人が多いが、寝室ですでにベッドに入っている場合はどうなるのだろうか?そのまま寝てしまう可能性が高い。
しかしテレビをつけたまま寝ることは睡眠の量や質、そして健康全般に影響を及ぼす可能性がある。だがメリットもある。クリックして両方の側面を見てみよう。
テレビをつけたまま寝ることの体への影響は?
人間の体への長所と短所
健康 休み
多くの人が自宅にテレビを持ち、寝室にもテレビがある。テレビを見ながら眠ってしまう人は珍しくない。寝室以外の場所でテレビを見ている場合はそれを寝る合図としてベッドに向かう人が多いが、寝室ですでにベッドに入っている場合はどうなるのだろうか?そのまま寝てしまう可能性が高い。
しかしテレビをつけたまま寝ることは睡眠の量や質、そして健康全般に影響を及ぼす可能性がある。だがメリットもある。クリックして両方の側面を見てみよう。