帯状疱疹(ヘルペス・ゾスター)は、かゆみと痛みを伴う発疹が体の片側に現れるウイルス感染症である。発疹は水ぶくれが帯状に並んで出現し、寒気、倦怠感、発熱、痛みを伴うことがある。ただし、水ぼうそうにかかったことがある人には感染しない。
帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)であり、このウイルスは水ぼうそうを引き起こす原因でもある。水ぼうそうから回復した後も、ウイルスは体内に潜伏し続け、免疫力が低下したときなどに再活性化して発症することがある。帯状疱疹の症状には痛み、かゆみ、しびれ、うずきのほか、発熱、頭痛、倦怠感などが含まれる。
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帯状疱疹は、しばしば水ぶくれを伴う発疹として現れることが多い。しかし、発疹が出る前に特定の部位に痛みやかゆみ、あるいはしびれを感じることもある。
発疹には、しばしば小さな水ぶくれがいくつも現れる。これらの水ぶくれは数日以内に破れてかさぶたを形成し始めることがある。発疹は通常、体の片側に帯状に現れるのが特徴である。
帯状疱疹になると痛み、かゆみ、不快感を伴う発疹が現れるだけでなく、人によっては発熱、寒気、頭痛、倦怠感などの症状が出ることもある。
水ぼうそうにかかったことがある人、つまりアメリカ人の99%は帯状疱疹を発症する可能性がある。どちらも水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる。子どもの頃に水ぼうそうにかかると、このウイルスは神経系に潜伏し続ける。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、神経系の中で何年も不活性な状態で潜伏し続ける。しかし加齢や免疫力の低下などをきっかけに再活性化し、神経の経路を通って皮膚へと移動することで、帯状疱疹を発症することがある。
とはいえ、水ぼうそうにかかったすべての人が、のちに帯状疱疹を発症するわけではない。実際のところ、なぜ一部の人だけが帯状疱疹を発症するのかは、正確には解明されていない。
ひとつの説として、年齢を重ねるにつれて免疫力が低下しやすくなることが挙げられている。感染症に対する免疫が弱まった時期にウイルスが再活性化し、帯状疱疹を発症する可能性がある。
帯状疱疹を発症する人の多くは、一般的に50歳以上の高齢者であるか、自己免疫疾患などによって免疫力が低下している人である。
実際、年齢は帯状疱疹の発症リスクを高める主要な要因の一つである。50歳を超えるとウイルスが再活性化しやすくなり、60歳を超えると合併症が重症化する傾向も見られる。
放射線治療や化学療法などのがん治療を受けている人も、帯状疱疹を発症しやすくなる場合がある。HIV/エイズのような疾患も、免疫力の低下によって帯状疱疹のリスクを高める要因となる。
腎臓病、糖尿病、肺疾患などの持病も、帯状疱疹のリスクを高める可能性がある。強いストレスを感じる期間があると免疫力が低下し、それによって発症しやすくなることもある。妊婦や新生児もリスクが高いとされている。
臓器移植を受け、拒絶反応を防ぐための薬を服用している人も、帯状疱疹を発症するリスクが高いとされている。さらに、長期にわたってステロイドを服用している人も、同様のリスクを抱えていることが研究で示されている。
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は、実はヘルペスウイルスの一種である。このウイルス群には口唇ヘルペスなどを引き起こすウイルスも含まれており、そうした理由から帯状疱疹は「ヘルペス・ゾスター」とも呼ばれている。
名称は似ているが、帯状疱疹や水ぼうそうは、口唇ヘルペスや性器ヘルペスを引き起こすウイルスとは別のウイルスによって発症する。後者は性感染症として知られている感染症である。
では、帯状疱疹は感染するのか?答えは「はい」と「いいえ」の両方である。帯状疱疹の患者から水痘・帯状疱疹ウイルスが感染するのは、水ぼうそうに免疫のない人に限られ、しかも主に発疹や水ぶくれなどの患部に直接触れた場合に起こる。
興味深いことに、このように感染した場合、発症するのは帯状疱疹ではなく水ぼうそうである。そして、この感染は一部の人にとって非常に危険なものとなる可能性がある。
水ぼうそうは、これまでかかったことのない人にとっては非常に危険となる可能性がある。多くの人は子どもの頃に水ぼうそうを発症するが、その時期に感染しなかった人が大人になってからかかると、重篤な合併症を引き起こすことがある。
こうした合併症にはどのようなものがあるのか?人によっては、ウイルスによって生じた発疹が治った後も、帯状疱疹による痛みや不快感が長く続くことがある。
この状態は「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれ、神経線維が損傷を受けることで発生する。損傷した神経線維は痛みの信号を常に発し続けるようになり、皮膚から脳へ絶えず痛みのメッセージが送られるようになる。
帯状疱疹を発症すると、神経系に永久的な変化が生じることがある。脳の炎症、聴力の低下、さらには平衡感覚の障害が現れることもあり、顔面麻痺を引き起こす場合もある。
もうひとつの厄介な合併症として、視力の低下や喪失がある。帯状疱疹による発疹は体のどこにでも現れる可能性があり、目の周囲に出ることもある。このような状態は「眼帯状疱疹」と呼ばれる。
目の周囲に帯状疱疹が現れると、特に強い痛みを伴うことがある。これは医学的にも緊急対応が必要な状態とされており、視力を失うおそれのある二次感染を引き起こす可能性がある。
帯状疱疹では、二次感染が大きな問題となることがある。発疹を適切にケアし、十分な治療を行わないと、細菌性皮膚感染症などの別の感染症を併発することもある。
帯状疱疹の発症が、アルツハイマー病や認知症といった、より重篤な神経疾患の発症リスクを高める可能性があることを示す研究も存在する。
では、帯状疱疹を予防するにはどうすればよいのだろうか?対象となる人には、安全で効果的なワクチンが用意されている。アメリカでは、50歳以上の人を対象とした「シングリックス」というワクチンが一般的に使用されている。
このワクチンは高齢者に限らず、慢性疾患を抱え、免疫力が低下している人にも接種することができる。そのような人々は帯状疱疹を発症しやすいため、予防接種が推奨されている。
ワクチンを接種しても、帯状疱疹を完全に防げるわけではない。しかし、たとえ発症した場合でも、症状が続く期間や重症度が軽減されることが多いのである。
残念ながら、このワクチンはあくまで予防手段であり、すでに帯状疱疹を発症している場合には治療には使えない。したがって、リスクを下げるためにも、発症前に接種を検討することが望ましい。
帯状疱疹を発症した場合は、ウイルスの拡散を防ぐために発疹部分を覆っておくことが大切である。発疹部分を清潔に保つだけでなく、できるだけ触れないようにし、手洗いもこまめに行うように心がける必要がある。
出典: (Mayo Clinic) (World Health Organization)
現在アメリカ人の99%が帯状疱疹ウイルスを保持している
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帯状疱疹(ヘルペス・ゾスター)は、かゆみと痛みを伴う発疹が体の片側に現れるウイルス感染症である。発疹は水ぶくれが帯状に並んで出現し、寒気、倦怠感、発熱、痛みを伴うことがある。ただし、水ぼうそうにかかったことがある人には感染しない。
帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)であり、このウイルスは水ぼうそうを引き起こす原因でもある。水ぼうそうから回復した後も、ウイルスは体内に潜伏し続け、免疫力が低下したときなどに再活性化して発症することがある。帯状疱疹の症状には痛み、かゆみ、しびれ、うずきのほか、発熱、頭痛、倦怠感などが含まれる。
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