アメリカ大陸初の「気候難民」とは？ - 2024年6月、海面上昇によりパナマ沖の島全体から住民が避難した。その住民である先住民族グナ族は、中南米初の「気候難民」となった。島民は本土へ移住することになったが、科学者は、この地域にある島々の多くが2050年までに海中に消えることになると警告している。グナ族とは一体何者なのか、彼らはどこへ行ったのか？

次のギャラリーをクリックして、気候変動によって、何世紀も続く文化が危ぶまれる様子をご覧いただきたい。

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サンブラス諸島 -

サンブラス諸島はカリブ海に浮かぶパナマ沖の諸島である。365の島や岩礁からなり、現在49島に人が住んでいる。その手つかずの自然はエコツーリズムの楽園となっている。また、マリンスポーツに人気の地でもある。

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グナ族のコミュニティ -

島には先住民族グナ族のコミュニティがある。彼らはグナ・ヤラ自治区として知られる海岸沿いの地域にも居住している。この地域は19世紀から彼らが居住している。

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ガルディ・スグドゥブ -

これらの島の一つは、ガルディ・スグドゥブ（カルティ・スグドゥブとも表記される）と呼ばれている。かつては1,300人近いグナ族が暮らしていた。しかし2024年6月、海面上昇により、住民たちは自分たちの島を追われることになった。これにより、彼らはパナマではじめて、気候による移動を余儀なくされる、アメリカ大陸初の「気候難民」となった。

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海に飲み込まれる -

ガルディ・スグドゥブの住民たちは、何十年もの間、海に飲み込まれるのではないかという恐怖と隣り合わせで暮らしてきた。茅葺き屋根とトタン屋根の家は、特に11月から2月の雨期に徐々に浸水していった。

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海面の上昇 -

この状況を監視していたスミソニアン熱帯研究所の海洋学者は、危機感を抱いていた。彼らのデータによると、ガルディ・スグドゥブ周辺の海は現在、年間3.4ミリメートルずつ上昇している。グナ族が住む島のほとんどは、海抜わずか0.5メートルから1メートルしかない。

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100年の歴史 -

ガルディ・スグドゥブは100年以上前から人が住んでいた。住民は漁業で生計を立て、後に観光業も盛んになった。

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文化的な独自性 -

同時に、グナ族は海と密接に結びついた文化的な独自性を発展させ、育んできた。

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モラ -

グナ族の女性は、モラと呼ばれる伝統的な衣服を身にまとっている。鮮やかな織物で手縫いされたその模様は、グナ・ヤラ地方に生息する花や鳥、海の生き物からインスピレーションを得たものである。

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母系社会 -

グナ族は妻方居住婚である。花婿は花嫁の家族の一員となり、花婿は花嫁の姓を名乗る。

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民族の自決権 -

グナ族のコミュニティには、重商主義と自決権の歴史が深く根付いている。例えば、モラの販売は貴重な収入源となっている。一部の島では、グナ族が観光客向けに小さなレストランを開いているところもある。

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革命 -

グナ族は自分たちの自治に誇りを持っている。1903年にパナマがコロンビアから独立すると、誕生したばかりのパナマ政府はグナ族の伝統的習慣の多くを弾圧しようとした。これに対して激しい抵抗が起こった。1925年2月25日には、グナ族が人民革命と呼ばれる短期間の反乱を起こし、独立を宣言した。

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コミュニティ意識 -

ガルディ・スグドゥブのコミュニティは、会議場、すなわちオンマケット・ネガ（Onmaket Nega）を中心に形成されていた。これはグナ族が居住するすべての島に見られる特徴である。この場所では、住民が社会問題やコミュニティの問題について話し合うために召集されていた。

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教育 -

ガルディ・スグドゥブには学校があり、生徒たちは制服をまとい、国のカリキュラムに沿って学んでいた。

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避けられない現実 -

2010年には、海面上昇によって島民に危機が迫っていることが明らかになった。海水が定期的に家屋や通路に浸水し、脆弱な住宅は海や悪天候の犠牲となっていた。

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移転計画 -

避けられない現実を受け入れ、島の年長者たちはパナマ政府と協力し、本土に新たな村を建設する取り組みを開始した。

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新しい土地 -

コミュニティとNGOが主導する数年にわたる支援活動の後、2017年にパナマの住宅省は、グナ族コミュニティがすでに所有していた本土の新しい土地に300戸の新しい住宅を建設することを約束した。

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新しい住宅 -

その後まもなく、プレハブ式2ベッドルームの住宅からなるイスベル・ヤラ村の建設が、米州開発銀行の資金援助により始まった。

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新しい環境 -

しかし、その場所は海から遠く離れている。それどころか、海のない、森林に囲まれた内陸に位置している。

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新しい生活様式への適応 -

漁師や船乗りとして生計を立ててきたコミュニティにとって、環境への適応は困難であった。

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他に選択肢はない -

コミュニティを本土ではなく、より大きな近隣の島へ移動させることを一部の住民は申し出た。しかし、この案は却下された。というのも、海面上昇が諸島全体に影響を及ぼしており、2050年までにガルディ・スグドゥブ近辺の多くの島々が居住不可能になるという研究結果が出ているからだ。

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避難開始 -

2024年6月、島から本土への約300世帯の避難が本格的に始まった。

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最後にひと目 -

多くの住民はかつての家を最後に眺め、村から船着き場まで歩き、本土行きの20分間の船旅に出発した。

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本土へ -

輸送には船が使われ、島民や彼らの所有物をイスベル・ヤラまで運んだ。

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輸送 -

ガルディ・スグドゥブの人口1,300人全員を本土へ移動させるには、数日と数十隻のモーターボートを要した。

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別の道を -

イスベル・ヤラに到着した島民たちは、割り当てられた土地へと新たなを歩んだ。

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引っ越し -

パナマの国境警備隊（SENAFRONT）の隊員たちが、重い家具やその他の大型の物品を新しい家屋に運び入れるなど、移転作業を手伝った。

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定住 -

イスベル・ヤラの複合施設には飲料水と衛生設備が完備されている。しかし、約束されていた学校の建設が遅れていたため、子どもたちはガルディ・スグドゥに戻って授業を受ける必要があった。

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新しい生活 -

新しい家を手に入れた一方で、長年住んでいる住民の中には、この移動が最終的に自分たちの生活様式や文化を脅かすことになるのではないかと懸念している人もいる。

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未来への希望 -

ほとんどの場合、移動は住民の希望によるもので、パナマ政府もそれを支持している。

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気候危機 -

しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチ（NGO団体）によると、グナ・ヤラ自治地域内の少なくとも38島も近いうちに移動が必要になるという。その中には、約2万8,000人の「気候難民」となる人々も含まれている。

出典：(BBC) (Al Jazeera) (University of Miami) (Human Rights Watch) (Smithsonian Tropical Research Institute)

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