再選レースから撤退した米国大統領たち -

ジョー・バイデン大統領が最近、米国大統領の再選レースを継続しないと発表して以来、有権者や政治ファンが状況を完全に把握しようとして、多くの議論が巻き起こっている。バイデン大統領については知らないことがたくさんあるかもしれないが、米国の歴史上、進行中の再選レースから撤退した大統領は彼だけではない。

他の米国大統領がなぜ選挙戦から撤退を決めたのだろうか？このギャラリーをクリックして、本当の歴史の教訓を学ぼう！

© Getty Images

ハリー・S・トルーマン -

ハリー・S・トルーマンは、アメリカ史上初めて、大統領再選レースから撤退した大統領である。これに先立つ1944年の選挙では、フランクリン・ルーズベルト大統領に選ばれ、1945年に副大統領になった。

© Getty Images

急速な就任 -

1945年4月12日、ルーズベルト大統領の死去によりトルーマンが大統領に就任。ルーズベルト大統領の任期を全うした後、1948年に大統領に選出された。

© Getty Images

第二次世界大戦後 -

広島と長崎に原爆を使用するという重大な決断を下したのはトルーマンだった。しかし、その結果、第二次世界大戦は終結したが、原爆による荒廃と破壊はトルーマンの大統領職に極めて否定的な影響を与えた。

© Getty Images

第二次世界大戦後 -

トルーマン大統領の任期は、第二次世界大戦後の冷戦の始り、ヨーロッパ再建のためのマーシャル・プラン国際連合の設立（写真）、朝鮮戦争の勃発など、多くの重大な課題に直面した時期であった。

© Getty Images

冷戦 -

冷戦の始りは、トルーマン大統領のホワイトハウスでの任期中、最も重要な出来事の一つだった。1947年、彼は共産主義の拡大を阻止するためにトルーマン・ドクトリンを実施し、世界情勢に対するアメリカの関与を強調した。

© Getty Images

朝鮮戦争 -

朝鮮半島が北朝鮮と韓国に分断された後、1950年に両国の間で戦争が勃発した。北朝鮮は共産主義のソ連の支援を受け、韓国は米国の支援を受けていた。この紛争は最終的に膠着状態に陥り、トルーマンの人気に深刻な影響を与えた。

© Getty Images

内政問題 -

国内では、トルーマンは労働ストライキ、公民権運動、さらには戦時経済から平時経済への移行に伴う経済難など、数多くの問題に直面した。彼のフェアディール政策は、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策のシリーズで継続し拡大することを目指したものであったが、議会で大きな反対に遭った。

© Getty Images

再選レース -

1951年までに、トルーマンの人気は著しく低下した。支持率は低く、22％前後で推移したが、その主な原因は朝鮮戦争の膠着状態、国内外の問題への対応に関する不満の広がりであった。

© Getty Images

限定期間 -

1951年、大統領の任期を2期までとする憲法修正第22条が批准された。しかし、修正条項が可決された当時、トルーマンは現職大統領であったため、この修正条項の適用を免除され、1952年に再任期に立候補する選択肢が与えられた。

© Getty Images

政党内での課題 -

トルーマンは民主党内でかなりの困難に直面した。彼が次の任期に立候補する可能性に対しては相当な反対があり、指名で獲得できるかどうかは不明だった。テネシー州のエステス・キーフォーバー上院議員（写真）のような重要人物が勢いを増し、トルーマンのリーダーシップに大きな課題を突き付けていた。

© Getty Images

究極の決断 -

1952年3月29日、ワシントンD.C.で開かれたジェファーソン・ジャクソン記念日の晩餐会で、トルーマンは再選を目指さないと発表した。彼は「私は再選の候補にはならない。私は長い間国に尽くしてきたし、効率的かつ正直に考えている。国と党のために最善を尽くしたという満足感を持って1月に引退するつもりだ」と述べた。

© Public Domain

新たな夜明け -

トルーマンの発表により、アドレー・スティーブンソンが民主党の候補者になる道が開かれたが、スティーブンソンは最終的に1952年の大統領選挙でドワイト・D・アイゼンハワーに敗れた。

© Getty Images

リンドン・ジョンソン -

進行中の再選キャンペーンから撤退した2人目の米国大統領は、リンドン・ジョンソンだった。それ以前は、1960年にジョンソンはジョン・F・ケネディの副大統領候補に選ばれ、1961年に副大統領に就任した。

© Getty Images

大統領職 -

1963年11月22日にケネディが暗殺された後、ジョンソンは翌年の11月に任期満了までケネディの残りの任期を引き継いだ。

© Getty Images

ベトナム戦争 -

ジョンソン大統領の任期は、1960年代後半までにますます不人気となり、ベトナム戦争によって大きな分裂を招いていた。この戦争はアメリカ国民の間に大規模な抗議と不満を引き起こした。

© Getty Images

偉大なる社会 -

1965年、ジョンソンは貧困と人種的不平等の撲滅を目的とした「偉大な社会」政策を開始した。主な取り組みには、医療補償、公民権法、投票権法などがあった。これらの計画は成功を収めたが、ベトナム戦争が続いていたため、国内での彼の業績の多くは影を潜めてしまった。

© Getty Images

社会不安 -

1960年代は、公民権運動、反戦デモ、都市暴動など、大きな社会不安が起こった時期でもあった。ジョンソン大統領の任期中、活動家マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが暗殺され、多くの民間人が政権を厳しく監視するようになった。

© Getty Images

政治的圧力 -

1968年までに、ジョンソンは一般大衆だけではなく自身の党内からも大きな反対に直面した。民主党は深刻な分裂に陥り、ユージーン・マッカーシー上院議員やロバート・ケネディ上院議員（写真）などの著名人が彼のリーダーシップに異議を唱えた。

© Getty Images

テト攻勢 -

テト攻勢は、1968年1月にベトナム戦争中に行われた組織的な攻撃であり、アメリカ軍が攻撃を受けた。この作戦により、戦争に対する国民の支持はさらに低下し、また、ジョンソン大統領の指示も低下した。多くの人々は戦争に勝てないと考え、アメリカ人の死傷者の増加によりジョンソンの任期は大幅に低下した。

© Getty Images

健康への懸念 -

ジョンソンの健康状態も、在任期間の成果に大きな影響を与えた要因の一つだった。ジョンソンは心臓疾患の病歴があり、大統領職のストレスが彼に大きな負担をかけていた。さらに、ジョンソンは昔からヘビースモーカーであり、「緊張するよりはタバコを吸う方が心臓に良い」と発言したこともあった。

© Getty Images

最終決定 -

1968年3月31日、全国テレビ放送の演説で、ジョンソンは、大統領として次の任期に党の指名を求めたり、受け入れたりしないと発表した。ジョンソンのこの決断は、政治運動に煩わされることなく、ベトナムの平和の実現と国家の緊急課題の解決に集中したいという彼の願望によって下された。

© Getty Images

リーダーシップの交代 -

ジョンソンは大統領から撤退した後も、北ベトナムへの全ての軍事爆撃を停止するという発表を含む主要政策に影響を与え続けた。その後、リチャード・ニクソンが1968年の大統領選挙で勝利し、翌年就任した。

© Getty Images

ジョー・バイデン -

ジョー・バイデンは、大統領選挙の途中で立候補を辞退した米国史上3人目の大統領だ。バイデンのホワイトハウスでの活動は、バラク・オバマの副大統領を務めた2009年に始まった。

© Getty Images

政治の一時中断 -

2016年、バイデンは息子ボー（写真）の死去を受け、当初は大統領選に出馬しないと決めていた。しかし、最終的には2020年の大統領選挙への立候補を表明し、ホワイトハウスに品位と能力を取り戻すことができる求心力のある人物として自らを位置づけた。

© Getty Images

新型コロナウイルス パンデミック -

しかし、バイデンの任期は最初から困難と比較的拙速な決断に悩まされた。彼の任期は新型コロナウイルスパンデミックの真っ只中に始まり、その間、彼の政権はウイルスと戦うためにワクチン配布、経済救済、公衆衛生対策を優先した。

© Getty Images

アフガニスタン -

2021年8月の米国のアフガニスタンからの撤退は、タリバンによる暴力的かつ急速な政権掌握により、幅広い批判にさらされた。バイデン政権はこの決定に対して激しく非難された。

© Getty Images

パレスチナ戦争 -

バイデン政権が厳しい目が向けられているもの一つは、イスラエルとハマスの戦争における役割である。紛争が始まって以来、バイデンの支持率は大幅に低下しており、多くの民間人がイスラエル軍への武器供給を止めるよう懇願している。

© Getty Images

撤退の判断の遅れ -

選挙まで残り4ヶ月を切った7月21日、バイデンは2024年の選挙から正式に撤退した。大統領候補がこれほど遅い時期に再選レースから撤退するのは初めてである（トルーマンとジョンソンは共に3月下旬に撤退している）。

出典: (Britannica) (The White House) (History) (White House Historical Association)

© Getty Images