PK戦の歴史と心理学 -

中立的な観客にとっては興奮の瞬間だが、選手、コーチ、熱心なファンにとっては恐ろしいPK戦は、1970年代からノックアウトトーナメントサッカーの不可欠な要素となっている。PK戦がサッカーの試合の勝者を決めるようになったのはその頃である。それ以前はコイントスで試合の勝者を決めていた。一見、PK戦の結果は運次第のように見えるかもしれないが、実は技術と精神力が試されるものなのだ。

ではPK戦はどこで、いつ始まったのだろうか?そして選手たちは重要なキックをする前にどのような戦略を使うのだろうか?ギャラリーをクリックして、その答えやその他の疑問に関してもチェックしてみよう。

© Getty Images

PK戦とは? -

PK戦とは、引き分けに終わらない試合において、通常時間と延長時間が経過した後にスコアが同点の場合に、どちらのチームが勝利するか決定するためのタイブレーク方式である。

© Getty Images

PK戦とは? -

各チームが交代でペナルティーマークからゴールを狙い、ゴールを守るのは相手チームのゴールキーパーのみとなる。

© Getty Images

シュートを打ち合う -

各チームには5回のキック権があり、それぞれ異なる選手がシュートを行う。最も多くのゴールを決めたチームが勝者となる。

© Getty Images

シュートを打ち合う -

PK戦は、ペナルティーキックを蹴るのに使用するゴールと、最初のシュートを蹴るチームを決定するために、コイントスを2回行うことから始まる。

© Getty Images

PK戦はいつから始まったのか? -

PK戦は、膠着状態を打開する方法として、1970年に国際サッカー評議会（IFAB）によって採用された。

© Getty Images

最初のPK戦 -

1982年、フランスのアラン・ジレスがワールドカップ決勝戦のPK戦で史上初のPKを蹴り、得点を獲得した。

© Getty Images

最初のPK戦 -

ジレスは最初、西ドイツのゴールキーパー、ハラルド・シューマッハーに背を向けたが、これがペナルティキック戦術の始まりとなった。

© Getty Images

1986年　FIFAワールドカップ -

1986年のFIFAワールドカップでのフランスとブラジルのPK戦で、ブラジルのジーコはゴールキーパーに近づいて、どの方向にダイブするべきか話し合い、PK戦がより方法論に基づいたプロセスになる基礎を築いた。

© Getty Images

方法論 -

1990年のジェノバのアイルランドの活躍（写真）は、PK戦前の精神的、肉体的準備の重要さを示す瞬間だった。特に、同じ大会でのイングランドの敗戦と比較すると、PKキッカーのスチュアート・ピアースは「ほとんど、あるいは全く」準備していなかったと認めている。

© Getty Images

方法論 -

イタリア90で行われたアイルランド対ルーマニアの試合中、PKキッカーのケビン・シーディは、パッキー・ボナー（アイルランド共和国のゴールキーパー）に、ボールの真ん中にまっすぐ打ち込む戦略を伝えた。

© Getty Images

PK戦のルール -

PK戦は試合結果とは別である。PK戦のゴールは選手やチームの得点にはカウントされない。

© Getty Images

ロベルト・バッジョ -

イタリアのロベルト・バッジョ選手は、ワールドカップのPK戦に3回出場しており、これは史上最多の出場回数である。

© Getty Images

PKシュートの前に -

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのイグナシオ・バラシオス・ウエルタ教授によると、コイントスで勝って先攻を選べば、PK戦で勝つ可能性が高まるという。

© Getty Images

PKシュートの前に -

バラシオス・ウエルタは129回のPK戦で1343回のPKを分析し、先攻チームが60.5%の確立で勝利していることを発見した。

© Getty Images

プレッシャーの高まり -

研究によると、選手が通常の試合内にPKをした場合、平均85％の確率でシュートを決める。しかし、PK戦中は、ペナルティーキックの成功率は76％に低下する。これは、選手が自分のペナルティーキックによって試合の結果が決まる可能性があることを知っているためと考えられる。

© Getty Images

損失回避 -

選手がPK戦で、決めたら勝つ場合のペナルティーキックの成功率は92％に上昇するが、得点しなければチームが負けてしまう場合、得点する可能性は60％未満に低下する。

© Getty Images

ゴールキーパーに背を向ける -

心理学者は、助走の開始地点に戻る際にゴールキーパーに背を向ける選手は、ミスする可能性が高くなることを発見した。

© Getty Images

ゴールキーパーに背を向ける -

選手が助走のスタート地点に戻る際にゴールキーパーに背を向けると、準備が出来ず、自分ではコントロールできないことに意識が集中し、ボールがどこに行くのかという微妙な合図をゴールキーパーに送ることになる。

© Getty Images

ゴールキーパーを長時間見続ける -

167回のペナルティーキックを研究した結果、ゴールキーパーに執着していた選手はより不安になり、より多くのペナルティーキックを失敗していたことが研究者によって明らかになった。

© Getty Images

急がない -

研究によれば、審判の笛の吹鳴に200ミリ秒以内に反応する選手は、得点できる確立が約57％に過ぎない。

© Getty Images

場所を選んでそこにシュートする -

直前に気が変わるとストレスが溜まり、技術も低下してしまうので、選手は場所を選んだら変えない方が良いとされる。

© Getty Images

心の準備 -

サッカーの試合が進むにつれて、運動能力は試合による肉体的な負担の影響を受ける。PK戦のプレッシャーと疲労が重なり、一部の選手にとっては耐え難いものになることがある。

© Getty Images

終盤の状況を再現する -

スポーツ科学者は、ペナルティーキックの練習に頼るだけでは不十分だと考えている。その代わりに、コーチは試合終盤やプレッシャーのかかる状況を再現する必要がある。

© Getty Images

ゴールキーパー -

研究者たちは、ペナルティーキックを止めるにはじっと立っているのが最適な戦略であることを発見した。しかし、相手はすぐに戦略に気づくため、ゴールキーパーは全てのペナルティーでこれを実行できるわけではなく、ある程度のランダム性が必要になる。

© Getty Images

ゴールキーパーキットの色 -

ある研究によると、ゴールキーパーのユニフォームの色は、対戦相手の得点の可能性に影響を与える可能性がある。もっとも得点が少なかったのは、赤（54％）または黄色（69％）のユニフォームを着たゴールキーパーに対してだった。

© Getty Images

チームの努力 -

PK戦は個人の技術を試すものと考えられがちだ。しかし、選手がゴールを祝うことでPK戦でチーム全体が勝つ可能性が高まるという証拠がある。

© Getty Images

チームの努力 -

ペナルティーキックは孤独な感じがするが、グランドの中央で観戦しているチームからのサポートは、ペナルティーキックをする選手に良い影響を与える。

© Getty Images

単なる幸運以上のもの -

PK戦は極めて難しい戦いで、運だけが重要なのではない。選手がボールをどこに置くかよりも、自分の能力を信頼し、心理を上手くコントロールすることが大事である。

出典: (FIFA) (Olympics.com) (AnalyiSport)

© Getty Images