想定される攻撃へのアメリカ合衆国政府の対応策 -

世界中の全ての国が予測不可能な事態に対する計画を立てられるだけの資源を持っているわけではないのだから、アメリカ合衆国の国民は政治家たちの努力に感謝すべきだろう。地震から人為的な残虐行為に至るまで、アメリカ合衆国政府は国民に被害を与えうる様々なシナリオ（国家計画シナリオとして知られている）を検討してきた。

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どんなもの？ -

想定されるあらゆる大惨事に備えるために、アメリカ合衆国政府が開発したものが国家計画シナリオである。15のシナリオは様々な自然災害および人災を網羅しており、緊急事態への備えと対処に活用できるよう設計されている。

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核爆発 -

計画の最初に挙げられているシナリオは、大都市圏で核兵器が爆発した場合を想定している。この爆発は半径1.6km以内を甚大な壊滅状態に陥れ、爆風による死傷者、熱放射線、初期核放射線が多量に発生する事態を意味する。

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核爆発 -

こうした大惨事を未然に防ぐには、アメリカ国内での核兵器の開発および他国からの輸入を防ぐために、法執行機関が多大な労力を費やす必要がある。そして万が一爆発が起こってしまった場合のシナリオの緊急対応としては捜索および救助、放射線症に対する治療、広範囲にわたる除染作業が必要となると考えられている。

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炭疽菌エアロゾル -

このシナリオでは、炭疽菌の芽胞がアメリカ合衆国の国民に対する生物兵器による攻撃として使われることを想定している。炭疽菌の芽胞はエアロゾルとして人口密度の高い地域に散布され、重度の呼吸困難や命に関わる症状を含む感染症が広範囲にわたり発生する。

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炭疽菌エアロゾル -

攻撃は確実にパニックを引き起こし、国中の医療機関が混乱状態に陥るだろう。国民の健康は感染者の隔離、感染地域の除染、全員に行き渡るだけの抗生物質とワクチンの配布に左右されることになる。

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新型インフルエンザの流行 -

第3のシナリオは、世界的な大流行を引き起こすほどの強い感染力を持つ新型インフルエンザウイルスが発生するというものである。このウイルスによって病気が蔓延し、社会的弱者を中心に高い致死率に至る。集中治療を必要とする患者が急増することにより、医療機関はひっ迫すると予想される。

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新型インフルエンザの流行 -

こうしたインフルエンザの大流行に対しては、ワクチンが開発された時点でまず集団予防接種を開始するのが最善策だと考えられる。抗ウイルス薬の配布も必要であり、ウイルスの蔓延を抑えるために渡航制限も実施する必要がある。

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ペスト -

第4のシナリオも生物兵器による攻撃で、こちらは非常に感染力の強い肺ペストによるものである。このシナリオではペストの菌が人為的に人口の多い地域に放出されることで瞬時に大勢の人々が感染し、吐血を含む激しい呼吸器症状を引き起こすことが想定されている。

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ペスト -

速やかに治療を行わなければ致命的となる可能性がある病気である。政府による対応策としては患者の早急な発見と治療、隔離措置の実施、徴候や症状に対する認識を高めるために公衆衛生に関する情報を提供することに重点を置くことになるだろう。

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びらん剤 -

第5のシナリオは、マスタードガスなどのびらん剤が公共の場に散布されるというものである。びらん剤は化学兵器の一種であり、皮膚に重度の化学熱傷と水疱を引き起こす。吸い込むと命に関わるほどの内部損傷を引き起こす可能性もある。

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びらん剤 -

びらん剤は効き目が早いため、人々や周辺地域を除染するために迅速な対応が必要となる。化学熱傷に対する医療処置も必要である。またびらん剤は風に乗って近隣地域に広がる可能性が高いため、被害を受けた場所の周辺の環境についても十分な対策が必要となってくる。

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有害な工業化学物質 -

この想定シナリオでは、テロリストが複数の石油精製所を標的とし、手榴弾などを使って施設を破壊した場合に発生する事態について考えられている。大量の有害な工業化学物質が周辺地域に流出し、呼吸困難から化学熱傷までの幅広い健康被害を引き起こすことになるだろう。

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有害な工業化学物質 -

化学物質の流出によって何万人もの人々が影響を受ける可能性がある。政府の対応としては地域全体を避難させ、流出した化学物質を完全に封じ込め無効化する必要がある。近隣の水供給にも影響が及ぶ可能性があるため、環境当局は流出した化学物質の浄化に不可欠な情報を提供することが求められる。

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神経剤 -

政府が想定するもう1つの化学兵器による攻撃は、人為的に作られた神経剤が人の集まる公共の場で撒かれるというものだ。神経剤は殺虫剤と同じように身体の神経系を混乱させるが効果は極めて強力で、放置すれば痙攣、呼吸不全、そして死に至る。

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神経剤 -

びらん剤と同じように、神経剤も風に乗って容易に何万人もの人々に拡散する恐れがある。緊急部隊が迅速な除染と解毒剤の投与に取り組む間に、大規模な避難が必要になるだろう。

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塩素タンク爆発 -

最後の化学兵器による攻撃に関するシナリオは、塩素貯蔵施設が爆破され、塩素ガスが大気中に放出されるというものである。塩素ガスは非常に有毒である上に地表近くに滞留し、瞬く間に拡散する。呼吸器系に深刻な問題を引き起こし、目や皮膚に炎症をもたらし、場合によっては死に至る肺水腫を引き起こすこともある。

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塩素タンク爆発 -

このシナリオではまず塩素ガスの流出を食い止めること以外に、風下の地域から住民を避難させ、水路を除染することが重要であるとしている。塩素ガスにさらされることで数千人の死者が出る可能性があるため、犯人が次の爆発を繰り返す前に逮捕する必要がある。

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大地震 -

第9のシナリオは人災ではなく、起こりうる自然災害を想定したものである。大地震（リヒター・スケールでマグニチュード7.5以上）が都市圏を襲った場合は何百万人もの死者、負傷者、家を失う者が発生する可能性がある。実際には構造物への壊滅的なダメージが至る所で起こり、電気や水の供給も極度に制限されることだろう。

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大地震 -

緊急事態への対応としては捜索救助活動、負傷者の治療、避難民への避難所と基本的な生活必需品の提供などが含まれる。興味深いことにこのシナリオでは、起こりうるテロ攻撃を回避するために、政府が同地域の重要施設を警備する必要性についても触れている。

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大型ハリケーン -

このシナリオでは、時速249kmの風速を伴うカテゴリー5のハリケーンが、人口密度の高い沿岸地域に上陸することを想定している。ハリケーンは猛烈な風、高潮、洪水をもたらし、家屋、会社、主要なインフラに甚大な被害をもたらすだろうと予想されている。

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大型ハリケーン -

ハリケーンはアメリカ合衆国の東海岸に上陸することが多く、緊急部隊はハリケーンによる災害の各側面への対応に関して豊富な経験を持っている。緊急事態への対応としては、避難および避難民のためのシェルターの設置に重点が置かれ、一方の復旧活動としては、瓦礫の撤去やライフラインの復旧に取り組むことになる。

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放射性物質散布装置 -

第11のシナリオでは再びテロリズムが取り上げられており、大都市での放射性物質散布装置（またの名を「汚い爆弾」）の爆発が想定されている。この爆発によって放射性物質が広範囲に拡散することにより、大勢の人々が被爆し放射線症にかかる恐れがある。

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放射性物質散布装置 -

放射能汚染は悲惨で、まさに生命に関わる事態である。テロリストが使用する物質にもよるが、政府の対応としては、避難や放射線被曝に対する医療措置などの様々な措置が必要になるだろう。長期間にわたる取り組みとしては、環境の浄化や被曝した人々の健康状態の観察などが挙げられる。

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爆弾 -

このシナリオは、混雑した公共の場で即席爆発装置（IED）による複数の爆弾テロが組織的に行われ、多数の死傷者と建造物に甚大な被害をもたらすというものである。混乱とパニックを極限まで作り上げるために、近隣の病院を含むあらゆる避難場所への爆弾攻撃を含むことが想定されている。

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爆弾 -

緊急事態への対応としては、まず公共の安全と医療の提供に重点を置くことになる。実際にはあらゆる救急部隊が派遣され、火災、負傷者の手当て、捜索救助活動に当たるだろう。法執行機関は犯人を逮捕し、更なる被害を防ごうと尽力することになるはずだ。

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食品汚染 -

このシナリオは、有毒な生物学的製剤が故意に食品の供給源に注入されることで、広範囲にわたる被害を招くというものである。2001年以降のアメリカ合衆国の食品業界では徹底的な安全対策が講じられているものの、このシナリオでは、テロリスト集団が大規模な食品汚染を引き起こすような極秘情報を手に入れる可能性についても考慮されている。

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食品汚染 -

同シナリオにおける主な対応は、汚染された食品を全て回収し、被害を受けた人々に治療を提供することである。その後に生物学的製剤の出所を突き止め、該当地域を除染するための徹底的な調査が必要となるだろう。

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外来家畜伝染病 -

このシナリオでは、テロ集団が意図的に口蹄疫（FMD）を家畜の中に持ち込むことを想定している。口蹄疫は蹄を持つ動物の間において強い感染力を持ち、畜産業に大打撃を与える可能性がある。人間にとっては脅威ではない病気であるものの、食糧不足を引き起こすことによりパニックと混乱が発生する恐れがある。

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外来家畜伝染病 -

問題に対処するための第一歩は、感染または接触した大量の家畜を殺処分することである。国全体としての家畜の数が減少しないよう、隔離措置を実施する必要があるだろう。このシナリオでは長期間にわたる甚大な被害が予想されている。

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サイバー攻撃 -

政府が挙げた最後のシナリオは電力網、金融機関、通信ネットワークなどの国家にとって重要なインターネット関連のインフラを標的にした組織的なサイバー攻撃である。攻撃によって広範囲にわたる混乱、経済的な損失、治安への影響が懸念される。

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サイバー攻撃 -

大規模なサイバー攻撃には大規模な防衛策が必要となる。実際には政府が影響を受けたシステムを復旧させるために、民間企業や他国と密接に協力しながら、サイバー攻撃の正体を突き止め、排除する必要がある。こうした攻撃は物理的な場所には働きかけないため、恐らく対処が極めて困難な事態となるであろう。

提供元：(Public Intelligence) (Homeland Security)

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