数十年ごとに(時にはもっと早く)、世界の注目はバチカン市国に集まる。システィーナ礼拝堂のそびえ立つ壁の背後で、古くから続く極秘の儀式が始まるのだ。教皇コンクラーベと呼ばれる、カトリック教会が次期教皇を選出するプロセスが始まる。
4月21日のフランシスコ教皇の崩御を受け、教会は再び新教皇選出の準備を進めている。コンクラーベは何世紀にもわたる伝統に根ざしており、何重にも象徴的な細かい規則で構成されている。まもなく、世界中から枢機卿たちがミケランジェロの象徴的なフレスコ画の下に集い、カトリックにおける最も神聖な側面の一つについて熟考することになるだろう。
あの閉ざされた扉の向こうでは、一体何が行われているのだろうか?守らなければならない規則とは何か、そして、次期教皇が選出される前に、私たちが知っておくべきこと、他にどのような物議を醸す事例があるのだろうか?このギャラリーをクリックして、これらの答えをすべて見つけ出そう。
教皇の辞任または崩御後、教会法では枢機卿らが15日から20日以内にバチカン市国に招集され、選挙手続きを開始することを定められている。今年のコンクラーベは、フランシスコ教皇の崩御から16日後の5月7日に予定されている。
ローマ教皇コンクラーベは、ローマを世界中の人々を引き付ける磁石へと変貌させ、歴史的な瞬間を見ようと大勢の人々を集める。数十万人が集まると予想されており、フランシスコ教皇の葬儀には25万人が参列したことを考えるとこれは特に驚くべき数字である。
史上最長の教皇コンクラーベは、1268年に教皇クレメンス4世が崩御した後、1,006日間(約3年間)続いた。政治的および外部からの影響により分裂した枢機卿たちは、完全な孤立と厳しい審議の末、ようやく教皇グレゴリウス10世(写真)を選出する決定を下した。
「コンクラーベ(conclave)」という用語は、ラテン語の「cum clave(with a key:鍵を持つ)」に由来し、1268年から1271年にかけての長期にわたる教皇選挙後に造語された。グレゴリウス10世は1274年、枢機卿たちを外部からの圧力から守るため、厳格な隠遁生活を強制し今日まで続く秘密主義の形式を確立した。
コンクラーベが開催される間中、枢機卿選帝侯たちはドムス・サンクテ・マルタに居住する。ドムス・サンクテ・マルタはバチカン市国内のシスティーナ礼拝堂からそう遠くない場所にある住居である。
システィーナ礼拝堂は1878年以来コンクラーベの開催地となっているが、常に指定会場だったわけではない。それ以前の選挙はさまざまな場所で行われ、中にはイタリア以外にもフランスやドイツで行われたものもあった。
コンクラーベ周辺の警備は極めて厳重だ。コンクラーベが始まる前に、礼拝堂は盗聴器の検査を受ける。最終的に、投票プロセスの間はシスティーナ礼拝堂への立ち入りは枢機卿のみに許可されるが、一部の典礼補助員と医療スタッフは限定的な接触が許可されている。
コンクラーベ期間中に出席するすべての人(枢機卿であれ職員であれ)は、このプロセスに関わる出来事について秘密を守ることを誓約する。各人はコンクラーベ開始前に宣誓を行う。
コンクラーベの詳細を漏らした者は、カトリック教会から即座に破門される可能性がある。これには投票、議論、外部からの影響の暴露も含まれる。教会はこれらの規則を非常に厳格に守っており、電子機器の使用さえも禁止されており、監視対策は常に進化している。
教皇コンクラーベ中の秘密通信を防ぐため、枢機卿たちは厳格に食事制限を課せられていた。歴史的には、メッセージはパイや鶏肉などの食品を通して密かに持ち込まれていたため、こうした食品だけでなく食器やグラスも厳しく禁止されていた。
グレゴリウス10世がコンクラーベの制限を初めて定めた際、枢機卿たちは1日1食しか与えられなかった。コンクラーベが8日間を越えて続く場合は、パンと水のみが与えられた。これらの制限はその後緩和されたが、依然として厳しい管理体制は維持されている。
枢機卿たちの食事はすべて、共同キッチンで料理人やソムリエによって調理されており、そのすべては違法行為を防ぐために警備員によって監視されている。
1970年以降、コンクラーベでは80歳未満の枢機卿のみが投票権を持つ。これは選挙手続きを簡素化するために、1970年にパウロ6世によって定められた規則である。教皇は選挙人の上限を120人とすることを提案したものの、今回のコンクラーベでは133人の枢機卿が投票を行う予定だ。
資格のある枢機卿は、参加しないことを選択することもできる。アンジェロ・ベッチウ枢機卿は資格はあるものの、フランシスコ教皇への忠誠と教会の安寧を理由に、来たるコンクラーベへの不参加を選択した。ベッチウ枢機卿は、横領罪で有罪判決を受けた後にこの決定を下したが、論争が続く中で彼は無実を主張している。
稀ではあるが、政治的緊張や個人的な良心のために枢機卿がコンクラーベに出席しない例もある。こうした欠席は選挙を複雑化させる可能性があるが、無効にはならない。コンクラーベは、投票資格を持つ枢機卿の3分の2が出席する限り継続される。
コンクラーベ初日、枢機卿たちは通常午後4時30分から7時30分までシスティーナ礼拝堂に集まる。そこでは投票開始のため議論は一切禁止されており、宣誓と開票作業のみ行われる。政治的な発言や議論はすべて聖なる壁の外で行われる。
絶対的な秘密保持のため、核枢機卿は筆跡を隠しつつ、自分が選んだ候補者の名前を投票用紙に慎重に書き記す。そして、厳密な優先順位に従って一人ずつ祭壇に近づき、折り畳んだ投票用紙を見せながら進む。
核枢機卿は、短くひざまずいて祈りを捧げ、その後立ち上がって「私は、私の審判者となる主キリストを証人として、神の御前で私が選出されるべきと考える者に投票します」と宣誓する。それから、折り畳んだ投票用紙を、蓋付きの中華鍋に似た銀と青銅の壺に入れる。
完全な透明性を確保し、不正操作の疑いを排除するため、結果発表前に6人の枢機卿が無作為に選出され、他の枢機卿らの目の前で各投票用紙を綿密に精査する。これによりコンクラーベの完全世が強化され「選挙の不正」を主張する余地はなくなるのだ。
すべての投票用紙は集計後に針と糸で穴をあけられ、すべての票が揃うまで繋ぎ続けられる。新教皇が決定したかどうかが宣言された後、投票用紙は礼拝堂に設置された特別な炉で燃やされる。
システィーナ礼拝堂から立ち上る煙を通して、世界は教皇の決定を知る。白い煙は選挙の成功を、黒い煙は投票結果が出なかったことを表す。白い煙も黒い煙も、精密に配合された化学物質によって生成される。
伝統的には枢機卿が優先されるが、実際には洗礼を受けたカトリック教徒の男性であれば、その階段に関わらず教皇に選出される可能性がある。この稀な例外は、1378年にウルバヌス6世が教皇に選出された際に最後に見られた。ウルバヌス6世はそれまで大司教だった。
稀ではあるが、枢機卿が選出後に教皇職を辞退することは可能である。1503年にジョヴァンニ・ディ・ロレンツォ・デ・メディチ枢機卿が当初は辞退したが、後に説得された。選出された枢機卿が辞退した場合は選挙が再開される。
選出された人が教皇職を受け入れると、「あなたはどのような名前で呼ばれるべきでしょうか?」と尋ねられる。そして、すぐに教皇名を告げる。教皇名は、教皇職に抱くビジョンを象徴することが多いものである。この名前は在任期間中の教皇のアイデンティティとなる。
新教皇は選出を受諾した後、システィーナ礼拝堂に隣接する小さな部屋「Room of Tears(涙の間)」へと案内される。そこで教皇の祭服に着替え、しばらくの間、一人きりになる。この部屋の名前は、多くの新教皇が新たな役割の重大さに圧倒されていることを反映している。
新教皇の身元と体格が不明なため、バチカンは小、中、大の3種類の法衣を用意している。これらの法衣は「涙の間」に保管されている。
20世紀初頭まで、フランス国王、スペイン国王、神聖ローマ帝国といったカトリックの君主は教皇候補者を拒否する権利を有していた。この特権は、精神的な完全性を守り、世俗的な干渉を防ぐため、1904年に教皇ピウス10世によって廃止された。
教皇のコンクラーベは長きにわたり物語作家を魅了し、2016年の小説を原作とした2024年の映画「教皇選挙」のような高く評価された作品を生み出してきた。4月21日のフランシスコ教皇の崩御後、この映画の視聴率は283%も急上昇した。
コンクラーベは歴史、信仰、そして神への探求が真に融合した神聖な儀式である。古来の儀式と監修が静寂の中で融合し、新たな指導者を選出する。その秘密主義的な姿勢は、常に世界に大きな感銘を与える。
出典: (National Catholic Reporter) (Time) (The Guardian) (BBC) (The Independent) (The Times)
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数十年ごとに(時にはもっと早く)、世界の注目はバチカン市国に集まる。システィーナ礼拝堂のそびえ立つ壁の背後で、古くから続く極秘の儀式が始まるのだ。教皇コンクラーベと呼ばれる、カトリック教会が次期教皇を選出するプロセスが始まる。
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