新人が守らなければならない規定には、次のようなものがある。
潜水艦は、海底でも海面でも進むことができる海軍艦艇だ。19世紀に最初に船として発明された潜水艦は、すぐに世界中の海軍によって攻撃と防衛の目的で取り入れられた。しかし、数ヶ月とは言わないものの、何週間も潜水して過ごすように設計された船という性質上、生活し働くのに危険は切り離せない環境である。そして、もし何か問題が発生したときに、脱出できる可能性は極めて低い。悲しいことに、被災した船舶がすぐに沈没し、全員死亡したり、閉じ込められて出られず、最期に長くもがき苦しむ事例が多く存在している
ギャラリーを通して、水中で起きた大惨事を見ていこう。
2023年6月18日、ある観光用潜水艦がタイタニック号の難破船を見に潜っている間に行方不明になった。ニューファンドランド州セントジョーンズの沖合で、水中約13000フィート（約3.96km）を２時間旅する予定が、１時間45分ほどのところで突然小型潜水艦との連絡が途絶え、そこには5人が乗っていた。捜索と救助はすぐに始められたが、貴重な酸素供給が少なくなり、見つからないまま何日も過ぎてしまった。
6月22日、行方不明から4日経ち、もう望みも残らない船の残骸が海底で発見された。残骸は、大きく５つの破片に砕けていた。米国沿岸警備隊のジョン・モーガー少将は、残骸は「壊滅的な爆縮」を示していると述べた。死亡した乗客には、オーシャンゲートのCEO兼創設者ストックトン・ラッシュ氏、英国人実業家ハミッシュ・ハーディング氏、フランス人ダイバーのポール・アンリ・ナルジョレット氏、パキスタンの億万長者シャザダ・ダウッド氏と息子のスレマン氏が含まれていたと報告されている。
ロシアの原子力潜水艦クルクス(K-141)は1994年に進水した。この艦名は、歴史上最大の戦車戦となったナチスドイツ軍とソ連軍の間の軍事交戦である、第二次世界大戦時代のクルスク海戦にちなんで命名されたのだ。
クルクス号の船長は、ゲンナディ・リャチンで、右はロシアのテレビ局NTVがカメラに捕らえたビデオである。
2000年8月10日、クルクスはバレンツ海でのロシア海軍の大規模な訓練に参加した。2日後の8月12日、大きな爆発が潜水艦を突き破った。壊れた船は最終的に海底に沈んだ。
沈んだ潜水艦を発見するのに16時間以上かかった。その4日後、ロシア海軍は、ダイビングベルや避難ハッチを潜水艇に取り付けることに何度も失敗した。ウラジーミル・プーチン大統領は休暇を短くすることを拒否したが、５日後に英国とノルウェーの支援を受けるためようやく同意した。しかしそれはあまりにも遅すぎた。最初の爆発の生存者はとうに死んでいた。合計118名の職員が命を落とした。写真は、潜水艦が海底から回収された後のクルクスの司令塔である。
ロシア政府は爆発に対して何も行わなかった事を激しく批判された。報告書は後に、ロシアの海軍は災害に対応するための準備が全く出来ていなかったと締め括られた。写真は、クルクスの潜水艦乗組員4人の遺体の棺が本船の母港であるセヴェロモルスクでの追悼式典に到着した時のものだ。
フランス潜水艦スルクフの沈没は、乗組員130人全員が死亡した歴史上最悪の潜水艦事故だ。
スルクフは、私掠船商、奴隷商人、船主のロベール・スルクフ(1773-1827)にちなんで命名され、1929年11月に進水した。
この潜水艦は、大型の法装備巡洋艦で、フランス海軍と、後に自由フランス海軍に渡された。1940年にはシャルル・ド・ゴール将軍の検査を受けるほど一流の船であった。
1942年2月18〜19日のある夜、スルクフは行方不明になった。アメリカの貨物船トンプソン・ライクス号と衝突した可能性がある。しかし、これは未だ解明されていない。トンプソン・ライクスは水中の何かとぶつかったと報告したが、潜水艦はきっとUボートにぶつかったと考え、旅を続けていた。
潜水艦はパナマのクリストバル北130km(70マイル)の所で姿を消し、パナマ運河を経由してタヒチへ向かう途中であった（写真）。スルクフの難破船はまだ見つかっていない。
1960年に進水したUSSスレッシャーは、原子力攻撃型潜水艦だった。これは当時、最も速くて静かな潜水艦であった。
1963年4月10日、スレッシャーはマサチューセッツ州ケープコッド東の深海訓練中に沈んだ。米海軍は迅速に反応し、水上艦艇と海軍研究所の深部捜査能力による支援のもと、大規模な捜査を開始した。
深海を捜索するためにバチスカーフ「トリエステ」（写真）が進水した。２日後、姿を消していた潜水艦のひどく破損した残骸が発見された。
スレッシャーは水面から海底2600m(8400フィート)の所に横たわっていた。この事故の原因は後日、機関室の浸水による大規模な爆縮によるものとされた。
スレッシャーの乗組員129人は皆、この事故で息を引き取り、その一部の人の写真が50周年記念式典で飾られた。これは、1942年のフランス潜水艦スルクフ沈没事故に次いで、記録上2番目に死者が多い事故であった。
原子力攻撃型潜水艦USSスコーピオンの謎に包まれた失踪は未だに海軍史家を悩ませている。
1959年12月に進水した、スコーピオンはバージニア州ノーフォークを本拠地としていた。1960年代に行なわれた第6艦隊部隊及びNATO加盟海軍との訓練のほとんどに使用されていた。
1968年2月、スコーピオンは地中海展開のためノーフォークを出港した。1968年4月、スコーピオンはイタリアのナポリでUSSタラハッチーカウンティと接岸した。この写真は、スコーピオンが失踪前最後に撮られたものとされている。
1968年5月、潜水艦は大西洋で失踪したと報告された。10月にその残骸は最終的に、アゾレス諸島（ポルトガル）の南西約644km(400マイル)の深さ3050m(10000フィート)で発見された。
この惨事の背景にある理由にはさまざまな理論があり、それは、バッテリー充電中の水素爆発、魚雷の誤作動、さらにはソ連の潜水艦との衝突などがある。確かなことは、99人の乗組員が命を落としたということだ。
ソ連の原子力潜水艦K-19は30年間近くで、いくつかの悲惨な事故に見舞わられた。1961年、原子炉の1つで冷却材が底を突き、原子炉が崩壊しそうになった。放射性蒸気の漏れを防ごうと試みた際に、最終的に22人の乗組員が死亡した。これはハリソン・フォードとリーアム・ニーソン主演の2002年の映画「K-19:ウィドウメーカー」で描かれた事件だ。1969年にこの潜水艦は、バレンツ海で米国潜水艦と衝突し、1972年には潜水艦が潜水中に火災が発生し、乗組員28人が死亡した。
1989年4月7日、ソ連の原子力潜水艦K-278はノルウェー沖バレンツ海をパトロール中にエンジン室の火災に見舞わられた。船艦はなんとか5時間水面に浮かんでいたが、その後沈没した。多くの乗組員が救助される前に亡くなり、死者は合計42人となった。
1968年3月の冷戦真っ只中、ディーゼル電気駆動のソ連潜水艦K-129は太平洋で姿を消した。98人の乗組員全員が死亡した原因について、最もな理由は示されていない。
2003年4月に起こった中国潜水艦361の機械故障では、70人の乗組員が命を落とした。これは、中国の平時における最悪の軍事災害の一つだ。
2019年7月、ロシアの原子力潜水艦、プロジェクト210が、ロシアの領海で海底の水中測定を行なっていた際に船中で火災が発生した。14人の乗組員が死亡し、そのうち７名は一等艦長の地位にあった。
アルゼンチン海軍所属のディーゼル電気潜水艦ARAサンファンは、2017年11月15日に南大西洋でのいつも通りパトロールしていた際に行方不明になった。翌日、この不運な船艦は907m(2976フィート)の深海で発見され、爆破した残骸が海底に散らばっていた。この悲惨な爆発で44人の乗組員全員が死亡した。
2008年に進水した、ロシアの原子力攻撃型潜水艦ネルパは太平洋で試用運航中に火災が発生し、20人が死亡し、数十人が負傷した。これはロシア潜水艦事故で2000年のクルスク沈没以来最悪のものとなった。
インドネシアの海軍の最近で最悪の損失は、KRIナンガラ(402)がバリ海で通常訓練中に失踪したことだ。停電が原因で沈没、最終的には爆発したと考えられている。52名の乗組員全員が死亡した。
2003年8月バレンツ海では、もう一つのロシア潜水艦K-159が、廃棄物を牽引中に沈没した。亡くなった9人の乗組員は船艦と共に沈んでいった。
1939年に進水した、皇帝海軍のHMSテティスによる珍しい事故が記録されている。このT級艦船は、魚雷発射管の浸水により、試験中に沈没した。乗組員９９名が命を落とした。この潜水艦は引き上げられ、その後第二次世界大戦で活躍した。1943年3月14日、この艦船は全ての乗組員と共に、地中海で姿を消した。
歴史上最悪の潜水艦事故
第二次世界大戦から2023年に起きた悲劇のタイタン潜水艦爆縮まで
ライフスタイル 海事
潜水艦は、海底でも海面でも進むことができる海軍艦艇だ。19世紀に最初に船として発明された潜水艦は、すぐに世界中の海軍によって攻撃と防衛の目的で取り入れられた。しかし、数ヶ月とは言わないものの、何週間も潜水して過ごすように設計された船という性質上、生活し働くのに危険は切り離せない環境である。そして、もし何か問題が発生したときに、脱出できる可能性は極めて低い。悲しいことに、被災した船舶がすぐに沈没し、全員死亡したり、閉じ込められて出られず、最期に長くもがき苦しむ事例が多く存在している
ギャラリーを通して、水中で起きた大惨事を見ていこう。