ウォルター・タルの生涯
エヴァ・ブラウンは1912年2月6日、フリードリッヒ・ブラウンとファニー・ブラウンの間にミュンヘンで生まれた。エヴァは３人姉妹の真ん中で、イルゼとグレトルという姉と妹がいる（写真）。
右から2番目に写っているのが9歳のブラウン。ミュンヘンの北にある小さな町、ドイツのバイルングリースにあるバイルングリース修道院付属学校にて。
両親は1921年に離婚したが、1922年11月に再婚した。ドイツのハイパーインフレによる、経済的な理由だったと思われる。
17歳のとき、ブラウンはナチ党の写真家ハインリヒ・ホフマンに雇われた。
最初は店員だったブラウンは、やがてカメラの使い方や写真の現像を学び、1929年、ホフマンのスタジオで23歳年上のヒトラーと出会った。1942年にこのスタジオで撮られたブラウン、ヒトラー、ホフマンの写真がある。
当時、ヒトラーは姪のゲリ・ラウバルと交際していたようだ。しかし、1931年に彼女が自殺した後、ヒトラーはラウバルに似ていると言われたブラウンに近づいた。
ヒトラーとの関係は波乱に満ちており、ブラウン自身も2度自殺を図った。
1932年の最初の自殺未遂から回復後、二人の関係は発展したようだ。ブラウンはヒトラーのミュンヘンのアパートに頻繁に泊まるようになった。
女性有権者のために、ヒトラーはドイツ国民に独身であることをアピールすることが大切だと考えていた。
二人の関係は秘密にされ、一緒に外出する姿はほとんど見られなかった。二人の関係が明らかになったのは戦後のことである。
しかし、写真家として働いていたブラウンは、怪しまれずに、ヒトラーの側近と一緒に旅行することを許された。
1944年、姉のグレトル・ブラウンが親衛隊の高官ヘルマン・フェゲラインと結婚したことで、ブラウンは公式行事にも参加できるようになった。フェゲラインの義理の妹として紹介されるようになった。
バイエルン・アルプスのベルヒテスガーデンにあるヒトラーの隠れ家、ベルクホーフで、人目を避けて側近と暮らすことができた。
ベルクホーフでは、ヒトラーとブラウンは寝室を隣にし、自由を満喫して多くの時間を共に過ごした。
ブラウンは家事はしなかったが、来客のホスト役となった。彼女は友人や家族をベルクホーフに招くことが多かった。客室係の仕事着をデザインしたとも伝えられている。
第二次世界大戦の過酷な状況下とは程遠く、ブラウンはバイエルン・アルプスで、のどかな生活を送ったとされるている。
ブラウンはヒトラーと側近を撮影し、ホームビデオを作成した。
主にベルクホーフで撮影されたビデオには、ヒトラーをはじめ、ヨーゼフ・ゲッペルス、アルベルト・シュペーア、ヘルマン・ゲーリング（写真）など、ナチスの高官が多数映っている。
1972年に映画史家のルッツ・ベッカーによって発見されたブラウンの映像には、ナチスの高官たちがテラスでくつろぎ、コーヒーを飲んだり、笑い合ったり、友人や家族とリラックスする姿が映っていた。
この映像は、厳格な独裁者としてのヒトラーのイメージを打ち砕き、人間的な一面を映し出した。
ヒトラーの長年のパートナーであったにもかかわらず、政治に関心がなく、ナチ党員ですらなかったと言われている。
ブラウンが本当に政治に関心がなかったのかどうかは別として、ナチスのイデオロギーにおいて、女性に政治の場がなかった。
ナチスのイデオロギーによれば、男性は強力なリーダー、女性は主婦であった。
1944年後半には、赤軍も西側連合軍もドイツに進軍し、1945年4月23日にはベルリンは包囲されていた。ブラウンはバイエルンを離れ、同月、地下壕でヒトラーと合流した。
赤軍が近づいてきた頃、ヒトラーはついにブラウンと結婚した。ヨーゼフ・ゲッベルスとマルティン・ボルマンが立ち会う中、結婚式は1945年4月29日の真夜中に地下壕で執り行われた。
新しい名前に慣れず、結婚証明書に「Eva B」としてしまったが、訂正して「Eva Hitler」と署名した。写真はその証明書である。
1945年4月29日、ヒトラーとブラウンは赤軍に捕らえられることなく自殺した。ヒトラーはこめかみを撃ち抜き、ブラウンは青酸カリを飲んだ。2人の遺体は外に運ばれ、焼却された。
写真は、ヒトラーとブラウンが死亡したとされる地下壕のヒトラー執務室である。
出典：(History Hit) (History Extra) (NPR)
アドルフ・ヒトラーの側近となった17歳の写真家アシスタント、エヴァ・ブラウンは、総統のそばで生き、そして死ぬことを選んだ。ヒトラーの長年の伴侶であり、たった数日間の妻でもあったブラウン。彼女のおかげで、ナチ党指導者の私生活を写した貴重な写真が世に残っているのだ。ブラウンの名前はナチ党、第三帝国と関連付けられてはいるが、彼女のプライベートについてはあまり知られていない。
歴史に残る、非道な人物の影で生きた女性の物語。ぜひこのギャラリーでご覧いただきたい。
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