米国大統領と教会の複雑な相互作用 -

ドナルド・トランプ大統領のホワイトハウス復帰は、今度はワシントン国立大聖堂で行われた異宗教間の礼拝をめぐって、メディアで引き続き話題となっている。2025年1月20日のトランプ大統領の就任演説で、アメリカの指導者は、自身の暗殺未遂事件に言及し、大統領職を神の介入だと考えていると聴衆に語った。トランプは「私はアメリカを再び偉大にするために神に救われた」と述べた。翌日に開催された全国祈祷イベントで、聖公会の司教であるマリアン・エドガー・ブッデ司教は、大統領に復帰した大統領に対し、国内で最も弱い立場にあるグループに対して「慈悲」を示すよう求めた。彼女のメッセージは、トランプ政権から敵意をもって受け止められた。

しかし、宗教家が大統領と対立するのはこれが初めてではない。詳しくは、このギャラリーをクリックして確かめよう。

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全国祈祷イベント -

2025年1月21日、大統領就任式の終わりを告げる1世紀以上続く宗教間の伝統である国家祈祷行事がワシントン国立大聖堂で開催された。

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マリアン・エドガー・ブッデ司教 -

大統領が最前列に座る中。長年大統領の行動について懸念を表明してきた歴史を受け、聖公会のマリアン・エドガー・ブッデ司教は式典で声明を発表するという困難な任務を担った。

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大きな責任 -

「これは大変な責任です」と司教は目の前の任務を振り返りながら述べた。「謙虚さと祈りをもって引き受けます」と述べると、ブッデ司教は国家統一の基盤、すなわち誠実さ、謙虚さ、そして全ての人の尊厳を強調して話を始めた。

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ブッデ司教は「慈悲」を求めた -

その後、ブッデ司教はトランプ大統領をまっすぐに見つめ、不法移民、亡命希望者、LGBTQ＋コミュニティなど、国内で最も弱い立場にある人々に対して大統領が「慈悲」を示すよう促した。

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思いやり -

ブッデ司教の強い声明は、移民の大半が「良き隣人」であると述べ、移民に対する思いやりを示すようトランプ大統領に求めた。声明には、同日、聖公会指導者らがトランプ大統領に送った、移民政策に関する大統領令に異議を唱える書簡が添えられていた。

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ショーン・ロウ主教 -

ショーン・ロウ主教は所管の中で、「キリスト教徒として、私たちの信仰は、神が抑圧から逃れるために外国に導いた人々の聖書の物語によって形作られている」と述べ、議会に対し、不法移民や亡命希望者の国外追放に反対するよう求めた。

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トランプ大統領の反応 -

トランプ大統領は式典後の報道陣への声明で、良い式典ではなかったと反応。その後、ソーシャルメディアでブッデの振る舞いを「無礼」で「口調が下品で、説得力も賢さもない」と非難した。

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ウッドロウ・ウィルソン -

教会が現職大統領と対立するのは今回が初めてではない。1919年1月、当時の大統領ウッドロウ・ウィルソン（パリ・ヴェルサイユ平和会議の写真：右側）は6か月以上ヨーロッパを歴訪していた。当初の予定にはなかったが、ウィルソンは教皇ベネディクトゥス15世を訪問した。

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戦略訪問 -

ウィルソンの訪問は戦略的なものだった。米国ではカトリック教徒が増加しており、その多くはヨーロッパからの移民だった。ウィルソンは訪問を通じて彼らの支持を得ようとした。そして、気まずい瞬間が訪れた。

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カトリック教徒はどこにいますか？ -

会談の終わりに、補佐官が教皇に、グループを祝福する時だと告げた。長老派教会の信者であるウィルソンは、祝福されることにあまり乗り気ではなかった。その代わりに、彼はスタッフに集計を求めた。その内容は、彼らの中にカトリック教徒がいるかどうかだ。写真はウィルソンがバチカン市国に到着した時の写真である。

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ウィルソンは立ったまま -

カトリック教徒のスタッフらは教皇の前でひざまずいて祝福を受けたが、ウィルソン（写真左）はその間ずっと立ったままだったと伝えられている。

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教皇の米国訪問 -

教皇は初めて米国を訪問したのは、1960年代、リンドン・ジョンソン大統領時代の教皇パウロ6世（写真はニューヨークで撮影したもの）だった。教皇が初めてホワイトハウスを訪問したのは、1979年、ジミー・カーター大統領時代の教皇ヨハネ・パウロ2世だった。

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ヨハネ・パウロ2世は12回以上訪問した -

ヨハネ・パウロ2世がバチカンを率いていた27年間に、教皇は米国大統領と10回以上会談した。写真は当時の大統領ジミー・カーターと一緒に撮影されたものである。

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ジミーカーター -

しかし、ジミー・カーターは教会と緊張関係にあった。カーターは新生福音主義者であり南部バプテスト派であると自認していたが、福音主義者が一般大衆にあまり知られていなかった時代だった。

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教会は変化し始めた -

その上、カーターが深く共感していた教会は変化し始め、人種統合、中絶、LGBTQ＋の権利などの問題に対する反対を繰り返し公言するようになった。実際、著名な福音派の指導者たちはカーターの反対派を支持していた。

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南部バプテスト派はキリスト教国家主義を採用 -

南部バプテスト教会がキリスト教国家主義傾倒し、特定のグループや問題に対してより保守的かつ敵対的になるにつれ、カーターはもはや自らの宗派と進歩的な政治的立場を調和させることができなかった。

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カーターは教会を去った -

2000年、教会が女性の改修指導を禁じた後、カーターは教会を去った。カーターにとってキリスト教は、原理主義の台頭による抑圧の手段ではなく、人権に従って他者に奉仕する人生を模範とする機会だった。

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イスラエルとの複雑な関係 -

注目すべきは、この理由からカーターはイスラエル国家とも複雑な関係にあったということだ。カーターは、ユダヤ原理主義がイスラエル・パレスチナ紛争における平和への最大の障害であるとみなし、国内の福音派コミュニティを怒らせていた。

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ジョージ・W・ブッシュ -

ジョージ・W・ブッシュも教会との間で気まずい瞬間に直面したが、特にベネディクト16世法王がホワイトハウスを訪問した際、法王はイラク戦争とアブグレイブ刑務所のスキャンダルを非難した。

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ジョー・バイデン -

ジョー・バイデンもまた、デラウェア州グリーンビルにある自身の教会、ブランディワインの聖ジョセフ・ローマ・カトリック教会で独自の問題に直面している。

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反発 -

60年以上ぶりのカトリック教徒の大統領となったこの元大統領は、特に中絶に対する見解を理由に、長年にわたりカトリック教徒コミュニティから多大な反発に直面してきた。

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「背教者」 -

ジョセフ・F・ナウマン大司教（写真）は、中絶に対する大統領の「カトリックの道徳的教え」に反する矛盾した見解を考慮して、大統領に対し、自らを熱心なカトリック教徒と名乗らないよう強く求めたほどだ。レイモンド・パーク枢機卿はバイデンを「背教者」、つまり宗教的信念や原則を放棄する者と呼んだ。

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やじを浴びる -

バイデンはミサのためにセントジョセフ教会に入ると、他の信者から頻繁にやじを浴び、聖体拝領は「冒涜行為」であり、「偽カトリック教徒」だなどと非難された。

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アメリカ政治への洞察 -

大統領と教会との関わりは単なる逸話の連続ではなく、キリスト教がアメリカの政治で果たす役割について重要な洞察を与えてくれる。

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福音派は圧倒的にトランプに投票した -

2020年、福音派教会に定期的に通う信者の約85％がドナルド・トランプに投票した。トランプの再選についても同様の数字が出た。

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キリスト教原理主義団体の影響 -

国家が政教分離しているにもかかわらず、キリスト教原理主義団体の影響力は計り知れない。宗教を信仰しないアメリカ人が増えているにもかかわらず、このことは変わらない。

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不一致 -

宗教的有権者の行動と、一般的に教会とその指導者が自らをどう位置付けているかの間には、大きな食い違いがあるようだ。これは、前任者と比べると概して進歩的であると考えられているフランシスコ教皇の指導の下では特に顕著である。

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ワシントンD.C.大司教区 -

実際、2025年1月6日、バチカンはトランプ大統領の政治的立場を厳しく批判するロバート・W・マッケルロイ枢機卿をワシントンD.C.大司教区の大司教に任命したと発表した。

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抵抗の声 -

トランプがローマ教皇庁で米国代表に選んだブライアン・バーチは、フランシスコ法王の進歩主義的大義への支持を強く批判している。ビラノバ大学の進学教授マッシモ・ファッジオーリは、法王がマッケルロイを選んだのは「トランプに対する抵抗の声」だと考えている。

出典: (The Washington Post) (NPR) (The New York Times) (Politico) (The Economist) (Sight Magazine)

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