トリノの聖骸布の魅惑的な物語 -

イエスの全身像を収めた遺物がまだ存在するかどうかは、激しい議論の的となっている。トリノの聖骸布は物議を醸す亜麻布で、1380年代に初めて公開された。この布は、十字架刑に処されたキリストの遺体を包むために使われたとして公表された。その存在が初めて記録されたのは、1359年に有名な騎士でありフランス・リレイの領主だったジョフロワ・ド・シャルネが所有していた時である。初めて展示された時、トロワ司教によって偽物であると非難され、それ以来何世紀にもわたって論争の的となってきた。現在、聖骸布の年代測定に使用された新しいX線技術により、約2,000年前、イエスの時代に作られたことが確認されたようだ。

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埋葬布 -

1354年以前には、聖骸布の出所を示す公式記録はなかった。しかし、ビザンツ帝国（東ローマ帝国）皇帝が所有していた貴重な埋葬用布は1204年のコンスタンティノープル包囲戦の際に消失したことは知られている。果たして同じ布なのだろうか？

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ジョフロワ・ド・シャルネ -

いずれにせよ、聖骸布が最初に公式に現れたのは、十字軍に参加し、1344年にスミルナの占領を指揮したテンプル騎士団の騎士、ジョフロワ・ド・シャルネの所有物だった。

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ジョフロワ・ド・シャルネ -

シャルネは1356年のポワティエの戦いで亡くなった。亡くなる前に、聖骸布が保管されていたと信じられているリレイの領地に教会を設立した。

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リレイの教会 -

当時聖骸布の鑑賞が行われていたかどうかは不明だが、19世紀半ばにパリのセーヌ川の泥の中から、リレイの教会で聖骸布を描いた中世の巡礼者のバッジが発見された。

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詐欺と判定 -

トロワ司教ピエール・ダルシスは、1390年に対立教皇クレメンス7世への覚書の中で、聖骸布は偽造であると宣言した。ダルシスはリレイの教会を管轄していた。

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宗教的象徴 -

これに対し、教皇は、これはキリストの真の埋葬布ではないと断言した。しかし、真の聖遺物ではなく宗教的な「象徴」であるという条件で、引き続き展示することを許可した。

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マーガレット・ド・シャルネ -

百年戦争がリレイにも近付きつつあった1418年、ジョフロワ・ド・シャルネの孫娘、マーガレット・ド・シャルネは、聖骸布を自分の城に保管することを申し出た。

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サヴォイア家 -

1453年、シャルネは聖骸布をサヴォイア家に売却したため、教皇から破門された。サヴォイア家は現在のフランス、スイス、イタリアの一部を支配し、後にイタリアの王位に就いた。

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サヴォイア家 -

サヴォイア家は1504年に聖骸布を保管するためにシャンベリーのサント・シャペルに安置したが、1532年に火災が発生し、聖骸布を保管していた容器の一部が損傷した。

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トリノの聖ヨハネ大聖堂 -

現在でも聖骸布には消火された時の水のシミや焼け跡などの損傷が残っている。サヴォイア家は1578年に聖骸布をトリノの洗礼者聖ヨハネ大聖堂に移した。

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1898年の展示会 -

聖骸布を展示するための特別な設備は17世紀に作られた。1898年にトリノの洗礼者聖ヨハネ大聖堂で聖骸布が公開された際に、初めて写真に撮られた。

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聖座に遺贈 -

聖骸布は20世紀後半までサヴォイア家の管理下に置かれていたが、イタリアの元国王ウンベルト2世の規定によりローマ教皇庁に遺贈された。

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聖骸布に関する議論は終わらなかった -

1300年代に対立教皇クレメンス7世によって偽造品であると宣言されたにもかかわらず、聖骸布の信憑性に関する論争は何世紀にもわたって続いてきた。

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科学的研究 -

20世紀に科学的研究が新たなレベルに進歩するにつれ、聖骸布の信憑性を支持する議論が支持されるようになった。

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トリノの聖骸布研究プロジェクト -

1970年代、「トリノ聖骸布研究プロジェクト」と呼ばれる団体は、その染みは本物の血であり、布についた痕跡の位置は磔刑にされた遺体のものと一致すると主張した。

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聖骸布が作られた年代 -

1980年代、ある科学者グループは分析の結果、聖骸布は1260年から1390年の間に作られたと推定した。一方、別の科学者グループは、自分達の研究で聖骸布は西暦300年から400年の間に作られたと主張した。

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聖骸布が作られた年代 -

2018年、聖骸布を研究する研究者らは法医学分析技術を駆使し、血痕がキリストのものであった可能性はないと論じた。

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偽物なのか？ -

聖骸布は中東産の亜麻で作られており、男性の顔の「頭」の周りにはヘルメット型の茨の冠が描かれているため、聖骸布の信憑性については議論の余地がないと主張する人もいる。

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偽物なのか？ -

しかし、1988年に3つの別々の研究所で行われた炭素年代測定では、聖骸布は7世紀前に作られたものであると判定されたため、本物ではないと主張する人もいる。

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炭素年代測定 -

1988年の研究では、聖骸布の一部に放射性炭素年代測定法が使用された。これは、炭素の放射性同位体（炭素14）の崩壊を測定し、炭素含有物質を含む物体が作成された日時を推定するものである。

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2024年の研究 -

しかし、興味深いことに、イタリア国立研究評議会結晶学研究所による新たな研究では、聖骸布の年代はそれよりはるかに古いことが判明した。

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広角X線錯乱 -

広角X線散乱（WAXS）と呼ばれる技術を使用して、聖骸布の布地から採取した8つの小さなサンプルをX線下で研究し、亜麻の繊維素の年代を測定した。

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亜麻の繊維素の熟成 -

この方法では、理念の構造と繊維素のパターンの細かい部分を調べて、布製品の年代を特定する。

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時系列パラメーター -

研究者たちは、特定の経年劣化パラメーター（温度や湿度など）に基づいて、聖骸布がヨーロッパに到着するまでの13年間にわたって保管されていた温度と湿度を判定した。

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時系列パラメーター -

イスラエルの1世紀に遡る同様の亜麻のサンプルと比較すると、データプロファイルは完全に互換性があった。

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炭素分析の誤りを暴く？ -

研究の種執筆者であるリベラト・デ・カロ博士は、標本の年代測定時に正しい洗浄手順が守られていない場合、炭素14サンプルは「信頼できない」ため、1988年の炭素分析は破棄すべきだと述べた。

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謎は続く -

今のところ、聖骸布をめぐる議論は続いている。聖骸布は防弾ガラスの向こうに常時展示されており、厳重な警備が敷かれている。

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謎は続く -

展示はイタリアのトリノにある洗礼者聖ヨハネ教会で引き続き開催されている。

出典: (History) (Britannica) (Daily Mail)

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