






























生乳は飲むべき?知っておきたい事実
- ウェルネス業界が新たなトレンドを生み出す際、ファッション業界並みに移り気であることが改めて証明された。牛から直接搾りたての生乳を飲むことを推奨する人々は、結果として自分たちの主張が裏目に出る形となっている。生乳を飲んで子どもが重い病気にかかった親たちが反対運動を展開しているにもかかわらず、健康志向の支持者たちはそれに耳を貸さず、生乳にはさまざまなメリットがあると主張し続けている。しかし今、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが全米の家禽や乳牛に広がる中で、生乳は再び注目の的となっている。 連邦保健当局は、低温殺菌された牛乳は引き続き安全に飲めると強調する一方、生乳を鳥インフルエンザの流行下で消費することは非常に危険で命に関わる可能性があると警告している。 この論争を呼ぶ問題について、ギャラリーで詳しく見ていこう。続きをご覧あれ。
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その昔...
- それは、実にロマンチックな光景を想像させる話だ。緑の牧草地で満足そうに草を食む牛たち。太陽が輝き、小鳥たちがさえずり、花々が咲き誇る中、陽気な農夫が牛たちを農場へと連れ戻し、ガラス瓶に直接搾乳している。そして、その牛乳がそのまま地元の家庭や店へ届けられる準備が整う…。
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米国の牛乳供給に連邦検査が義務づけられる
- しかし、アメリカ全土でははるかに不穏な現実が進行している。アメリカ農務省(USDA)は、鳥インフルエンザへの懸念が高まる中、国内の牛乳供給に対する検査を義務付ける連邦命令を発令した。
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鳥インフルエンザ警報
- H5N1型鳥インフルエンザウイルスは、2024年3月にテキサス州で牛から検出されて以来、警鐘を鳴らし続けている。それ以降、このウイルスは15州にわたる710以上の乳牛群に広がり、特にカリフォルニア州で最も多くの感染例が報告されている。
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飲んでも安全な牛乳と安全でない牛乳とは?
- 連邦および州当局は、食料品店で販売されている低温殺菌された牛乳は鳥インフルエンザの影響を受けていないため安全であると確認しているが、生乳についてはその限りではないと注意を呼びかけている。
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ウェルネスの「グル」グウィネス・パルトロウが意見を述べる
- ウェルネス業界の起業家たち、グウィネス・パルトロウを含む一部の人物が、生乳を飲むことを推奨している。このメッセージは2023年以降、TikTokユーザーや「健康系インフルエンサー」たちによって広く拡散されているが、その主張を裏付ける教育や研究はほとんど存在していない。
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生乳と低温殺菌牛乳について
- 生乳とは、牛(または羊やヤギ)から直接搾られたもので、低温殺菌されていない牛乳を指す。低温殺菌とは、100年以上前に確立された部分的な殺菌プロセスで、細菌やウイルス、その他の有害な病原体を破壊または無効化するための技術である。
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専門家の意見
- アメリカ食品医薬品局(FDA)および疾病対策センター(CDC)は、生乳が危険であるとの立場を変えていない。CDCの公式ウェブサイトでは次のように強調している。 「低温殺菌は牛乳の安全性を確保する上で不可欠であり、病気を引き起こす有害な病原菌を殺菌します。生乳を摂取することは、特に一部の脆弱な人々にとって深刻な健康リスクをもたらす可能性があります。低温殺菌された牛乳や乳製品を選ぶことが、牛乳の栄養的な利点を安全に享受するための最善の方法です」
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動揺させる事例研究
- さらなる説得が必要な方は、CDCのウェブサイトを訪れ、「raw milk(生乳)」で検索してみるとよい。そこには、3人の患者の体験談が掲載されている。この中でも、汚染された牛乳を飲んだ子どもたちが経験した悲惨なケースは、特に胸を打つ。透析治療や人工呼吸器、輸血といった処置、さらには命に関わる合併症に直面するリスクを負ってまで、生乳の「健康効果」を得ようとすることは到底正当化できないだろう。
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その主張を裏付ける研究や証拠はどこにあるのか?
- 支持者たちは、生乳は低温殺菌された牛乳よりも味が良く、栄養価が高いと主張している。しかし、生乳を飲むことの顕著な利点を裏付ける科学的証拠は限られている。
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検疫中の農場
- 12月初旬、カリフォルニア州の保健当局は、フレズノに拠点を置くRaw Farm社の生乳およびクリーム製品に鳥インフルエンザの汚染の可能性を検出した。同社の複数の製品がリコール対象となり、農場は隔離措置を受けている。
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鳥インフルエンザの流行に警鐘
- この発見は、公衆衛生の専門家の間で警鐘を鳴らしている。特に、鳥インフルエンザの流行が続く中で、低温殺菌されていない乳製品を消費することの潜在的な危険性を浮き彫りにしている。
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予測不可能性
- Raw Farmで発生した汚染事故は、生乳の予測不可能な性質と、その安全性を監視し確保する上で保健当局が直面する課題を明らかにしている。
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安全プロトコルの重要性
- このリコールは、食品安全プロトコルの重要性と、それが無視された場合に生じる可能性のある深刻な結果を改めて強く示している。
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報告されたケース
- FDAは、生乳には低温殺菌された牛乳と比べて特別な栄養上の利点がないことを強調している。また、過去20年間で、アメリカにおいて生乳の消費が少なくとも2,645件の疾病および228件の入院に関連していると報告している。
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重要な研究の情報を悪用
- FDAはウェブサイト上の詳細な報告書で、生乳消費に関するいくつかの神話を否定している。その中で、生乳が喘息やアレルギーを予防するという主張に関して、支持者がある重要な研究を「誤用」していると指摘し、そのような主張を裏付ける十分な科学的証拠は存在しないと断言している。
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虚偽の主張
- さらに、生乳は乳糖不耐症を治す効果はなく、低温殺菌された牛乳よりも骨粗しょう症の予防に効果的というわけでもない。また、生乳が腸に良い、栄養の吸収を高める、あるいは免疫力を向上させるといった主張を裏付ける証拠も存在しない。
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トム・パーカー・ボウルズ、生乳について
- イギリスのフードライターであり、カミラ王妃の息子であるトム・パーカー・ボウルズは『Mail on Sunday』に次のように書いている。 「低温殺菌もホモジナイズも標準化も行われていないため、ビタミンやミネラル、自然の消化酵素がそのまま含まれています…」 しかし、彼が触れなかったのは、生乳が含む可能性のある有害な細菌だ。それには、カンピロバクター、クリプトスポリジウム、大腸菌(E. coli)、リステリア菌、ブルセラ菌、サルモネラ菌などが含まれる。
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「全く愕然としている」
- ニューヨーク大学の栄養学・食品研究・公衆衛生学名誉教授であるマリオン・ネスル博士は、「生乳をめぐるトレンドの拡大に食品安全の専門家たちは『全く愕然としている』」と述べている。ネスル博士は『The Guardian』に対し、「牛乳の低温殺菌は20世紀における偉大な公衆衛生上の成果の一つです」と語り、「かつて牛乳を飲むことは赤ちゃんの命を奪っていました」と強調した。
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牛乳中の鳥インフルエンザに関するFDAの検査結果
- FDAの検査によると、4月以降、低温殺菌された牛乳から鳥インフルエンザウイルスの無害な死骸が検出されている。しかし、低温殺菌を経ていない、または一部のケースでは今後も低温殺菌される予定のない生乳には、生きた鳥インフルエンザウイルスが含まれる可能性がある。
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生乳が汚染されている可能性
- 鳥インフルエンザに汚染された生乳を飲むことの影響は未だ不明だが、専門家はそのリスクに見合わないと強調している。過去には、未殺菌の生乳がウシ型結核菌や腸チフスなど、いくつもの危険な病気と関連づけられてきた。
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鳥インフルエンザの症状
- これまでのところ、鳥インフルエンザは主に軽度の症状を引き起こしており、咳、喉の痛み、筋肉痛などが含まれるが、肺炎のような重篤な合併症を伴う場合もある。しかし、他国では重篤な病気で入院したケースも報告されている。
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事実に反する発言を論破する
- 生乳の支持者たちは依然として、生乳には低温殺菌された牛乳よりも多くのビタミンやミネラルが含まれていると主張している。一部の生乳製造業者であるRaw Milk Instituteは、生乳の利点は母乳に似ているとまで主張している。しかし、CDCはこのような主張を強く否定している。
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「アメリカを再び健康に」
- ここ数カ月、生乳は一部の政治家や団体の間で論争の的となっている。共和党の下院議員であるマージョリー・テイラー・グリーン氏は、生乳が健康に良いとX(旧Twitter)に投稿し、「Make America Healthy Again(アメリカを再び健康に)」というフレーズを生み出して議論を巻き起こした。
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「生乳、飲んでる?」
- 同様に、トランプ支持団体のTurning Point USAは「Got raw milk?(生乳、飲んでる?)」とプリントされたTシャツの販売を開始した。また、ロバート・F・ケネディ・ジュニアも支持を表明し、自身は生乳しか飲まないと語ったうえで、FDAの規制を「公衆衛生への戦争の一環」と批判している。
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政治における牛乳の位置づけ
- これらの議論は、ドナルド・トランプの選挙勝利とロバート・F・ケネディ・ジュニアが保健福祉省長官に指名されたことを受けてさらに注目を集め、生乳をめぐる論争が政治的な注目を浴びる事態となった。
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生乳の再検討
- カリフォルニア州の生乳生産者であり、Raw Milk Instituteの会長兼理事長も務めるマーク・マカフィ氏は、自身の製品が最近、鳥インフルエンザ汚染のために何度もリコールされたにもかかわらず、ロバート・F・ケネディ・ジュニアのチームから次期政権の生乳政策について指導を求められたと述べている。
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意見が分かれる論争
- この問題は、生乳を利用して健康や自由に関する特定の議題を推進する政治家たちによって、意見がさらに分かれる状況が続いている。かつてないほどメディアで注目を集めるようになった生乳をめぐる議論は、健康規制と個人の選択に関する疑問を投げかけている。
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マイケル・ペインの引用
- 『The Guardian』に語ったウェスタン食品安全・セキュリティ研究所の研究者でアウトリーチコーディネーターであるマイケル・ペイン氏は次のように述べている。 「低温殺菌を行わない場合、牛乳にはリステリア菌やサルモネラ菌、腎臓を損傷させる大腸菌(E. coli)が含まれる可能性があります。これらの問題は、生乳製品の消費によってほぼ毎年発生しています」
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生乳ルーレット
- 一部の人々が生乳の主張を推し進める一方で、専門家たちは明確に警告している。特に現在進行中の鳥インフルエンザの流行下で、生乳を摂取することは深刻な健康リスクを伴う危険な賭けであると。長年にわたり確立されてきた安全対策である低温殺菌は、食品由来の病気から公衆を守る上で不可欠である。
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現実を見る
- 生乳の宣伝に影響を受けている人は、そのリスクの大きさや主張されている利点の信頼性に疑問があることを理解することが重要だ。 出典: (The Guardian) (Forbes) (USA Today) (FDA) (CDC) (NPR) (Raw Milk Institute)
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生乳は飲むべき?知っておきたい事実
- ウェルネス業界が新たなトレンドを生み出す際、ファッション業界並みに移り気であることが改めて証明された。牛から直接搾りたての生乳を飲むことを推奨する人々は、結果として自分たちの主張が裏目に出る形となっている。生乳を飲んで子どもが重い病気にかかった親たちが反対運動を展開しているにもかかわらず、健康志向の支持者たちはそれに耳を貸さず、生乳にはさまざまなメリットがあると主張し続けている。しかし今、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが全米の家禽や乳牛に広がる中で、生乳は再び注目の的となっている。 連邦保健当局は、低温殺菌された牛乳は引き続き安全に飲めると強調する一方、生乳を鳥インフルエンザの流行下で消費することは非常に危険で命に関わる可能性があると警告している。 この論争を呼ぶ問題について、ギャラリーで詳しく見ていこう。続きをご覧あれ。
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その昔...
- それは、実にロマンチックな光景を想像させる話だ。緑の牧草地で満足そうに草を食む牛たち。太陽が輝き、小鳥たちがさえずり、花々が咲き誇る中、陽気な農夫が牛たちを農場へと連れ戻し、ガラス瓶に直接搾乳している。そして、その牛乳がそのまま地元の家庭や店へ届けられる準備が整う…。
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米国の牛乳供給に連邦検査が義務づけられる
- しかし、アメリカ全土でははるかに不穏な現実が進行している。アメリカ農務省(USDA)は、鳥インフルエンザへの懸念が高まる中、国内の牛乳供給に対する検査を義務付ける連邦命令を発令した。
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鳥インフルエンザ警報
- H5N1型鳥インフルエンザウイルスは、2024年3月にテキサス州で牛から検出されて以来、警鐘を鳴らし続けている。それ以降、このウイルスは15州にわたる710以上の乳牛群に広がり、特にカリフォルニア州で最も多くの感染例が報告されている。
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飲んでも安全な牛乳と安全でない牛乳とは?
- 連邦および州当局は、食料品店で販売されている低温殺菌された牛乳は鳥インフルエンザの影響を受けていないため安全であると確認しているが、生乳についてはその限りではないと注意を呼びかけている。
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ウェルネスの「グル」グウィネス・パルトロウが意見を述べる
- ウェルネス業界の起業家たち、グウィネス・パルトロウを含む一部の人物が、生乳を飲むことを推奨している。このメッセージは2023年以降、TikTokユーザーや「健康系インフルエンサー」たちによって広く拡散されているが、その主張を裏付ける教育や研究はほとんど存在していない。
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生乳と低温殺菌牛乳について
- 生乳とは、牛(または羊やヤギ)から直接搾られたもので、低温殺菌されていない牛乳を指す。低温殺菌とは、100年以上前に確立された部分的な殺菌プロセスで、細菌やウイルス、その他の有害な病原体を破壊または無効化するための技術である。
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専門家の意見
- アメリカ食品医薬品局(FDA)および疾病対策センター(CDC)は、生乳が危険であるとの立場を変えていない。CDCの公式ウェブサイトでは次のように強調している。 「低温殺菌は牛乳の安全性を確保する上で不可欠であり、病気を引き起こす有害な病原菌を殺菌します。生乳を摂取することは、特に一部の脆弱な人々にとって深刻な健康リスクをもたらす可能性があります。低温殺菌された牛乳や乳製品を選ぶことが、牛乳の栄養的な利点を安全に享受するための最善の方法です」
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動揺させる事例研究
- さらなる説得が必要な方は、CDCのウェブサイトを訪れ、「raw milk(生乳)」で検索してみるとよい。そこには、3人の患者の体験談が掲載されている。この中でも、汚染された牛乳を飲んだ子どもたちが経験した悲惨なケースは、特に胸を打つ。透析治療や人工呼吸器、輸血といった処置、さらには命に関わる合併症に直面するリスクを負ってまで、生乳の「健康効果」を得ようとすることは到底正当化できないだろう。
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その主張を裏付ける研究や証拠はどこにあるのか?
- 支持者たちは、生乳は低温殺菌された牛乳よりも味が良く、栄養価が高いと主張している。しかし、生乳を飲むことの顕著な利点を裏付ける科学的証拠は限られている。
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検疫中の農場
- 12月初旬、カリフォルニア州の保健当局は、フレズノに拠点を置くRaw Farm社の生乳およびクリーム製品に鳥インフルエンザの汚染の可能性を検出した。同社の複数の製品がリコール対象となり、農場は隔離措置を受けている。
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鳥インフルエンザの流行に警鐘
- この発見は、公衆衛生の専門家の間で警鐘を鳴らしている。特に、鳥インフルエンザの流行が続く中で、低温殺菌されていない乳製品を消費することの潜在的な危険性を浮き彫りにしている。
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11 / 31 Fotos
予測不可能性
- Raw Farmで発生した汚染事故は、生乳の予測不可能な性質と、その安全性を監視し確保する上で保健当局が直面する課題を明らかにしている。
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安全プロトコルの重要性
- このリコールは、食品安全プロトコルの重要性と、それが無視された場合に生じる可能性のある深刻な結果を改めて強く示している。
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報告されたケース
- FDAは、生乳には低温殺菌された牛乳と比べて特別な栄養上の利点がないことを強調している。また、過去20年間で、アメリカにおいて生乳の消費が少なくとも2,645件の疾病および228件の入院に関連していると報告している。
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重要な研究の情報を悪用
- FDAはウェブサイト上の詳細な報告書で、生乳消費に関するいくつかの神話を否定している。その中で、生乳が喘息やアレルギーを予防するという主張に関して、支持者がある重要な研究を「誤用」していると指摘し、そのような主張を裏付ける十分な科学的証拠は存在しないと断言している。
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虚偽の主張
- さらに、生乳は乳糖不耐症を治す効果はなく、低温殺菌された牛乳よりも骨粗しょう症の予防に効果的というわけでもない。また、生乳が腸に良い、栄養の吸収を高める、あるいは免疫力を向上させるといった主張を裏付ける証拠も存在しない。
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トム・パーカー・ボウルズ、生乳について
- イギリスのフードライターであり、カミラ王妃の息子であるトム・パーカー・ボウルズは『Mail on Sunday』に次のように書いている。 「低温殺菌もホモジナイズも標準化も行われていないため、ビタミンやミネラル、自然の消化酵素がそのまま含まれています…」 しかし、彼が触れなかったのは、生乳が含む可能性のある有害な細菌だ。それには、カンピロバクター、クリプトスポリジウム、大腸菌(E. coli)、リステリア菌、ブルセラ菌、サルモネラ菌などが含まれる。
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「全く愕然としている」
- ニューヨーク大学の栄養学・食品研究・公衆衛生学名誉教授であるマリオン・ネスル博士は、「生乳をめぐるトレンドの拡大に食品安全の専門家たちは『全く愕然としている』」と述べている。ネスル博士は『The Guardian』に対し、「牛乳の低温殺菌は20世紀における偉大な公衆衛生上の成果の一つです」と語り、「かつて牛乳を飲むことは赤ちゃんの命を奪っていました」と強調した。
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牛乳中の鳥インフルエンザに関するFDAの検査結果
- FDAの検査によると、4月以降、低温殺菌された牛乳から鳥インフルエンザウイルスの無害な死骸が検出されている。しかし、低温殺菌を経ていない、または一部のケースでは今後も低温殺菌される予定のない生乳には、生きた鳥インフルエンザウイルスが含まれる可能性がある。
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生乳が汚染されている可能性
- 鳥インフルエンザに汚染された生乳を飲むことの影響は未だ不明だが、専門家はそのリスクに見合わないと強調している。過去には、未殺菌の生乳がウシ型結核菌や腸チフスなど、いくつもの危険な病気と関連づけられてきた。
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鳥インフルエンザの症状
- これまでのところ、鳥インフルエンザは主に軽度の症状を引き起こしており、咳、喉の痛み、筋肉痛などが含まれるが、肺炎のような重篤な合併症を伴う場合もある。しかし、他国では重篤な病気で入院したケースも報告されている。
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事実に反する発言を論破する
- 生乳の支持者たちは依然として、生乳には低温殺菌された牛乳よりも多くのビタミンやミネラルが含まれていると主張している。一部の生乳製造業者であるRaw Milk Instituteは、生乳の利点は母乳に似ているとまで主張している。しかし、CDCはこのような主張を強く否定している。
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「アメリカを再び健康に」
- ここ数カ月、生乳は一部の政治家や団体の間で論争の的となっている。共和党の下院議員であるマージョリー・テイラー・グリーン氏は、生乳が健康に良いとX(旧Twitter)に投稿し、「Make America Healthy Again(アメリカを再び健康に)」というフレーズを生み出して議論を巻き起こした。
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「生乳、飲んでる?」
- 同様に、トランプ支持団体のTurning Point USAは「Got raw milk?(生乳、飲んでる?)」とプリントされたTシャツの販売を開始した。また、ロバート・F・ケネディ・ジュニアも支持を表明し、自身は生乳しか飲まないと語ったうえで、FDAの規制を「公衆衛生への戦争の一環」と批判している。
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政治における牛乳の位置づけ
- これらの議論は、ドナルド・トランプの選挙勝利とロバート・F・ケネディ・ジュニアが保健福祉省長官に指名されたことを受けてさらに注目を集め、生乳をめぐる論争が政治的な注目を浴びる事態となった。
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- カリフォルニア州の生乳生産者であり、Raw Milk Instituteの会長兼理事長も務めるマーク・マカフィ氏は、自身の製品が最近、鳥インフルエンザ汚染のために何度もリコールされたにもかかわらず、ロバート・F・ケネディ・ジュニアのチームから次期政権の生乳政策について指導を求められたと述べている。
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意見が分かれる論争
- この問題は、生乳を利用して健康や自由に関する特定の議題を推進する政治家たちによって、意見がさらに分かれる状況が続いている。かつてないほどメディアで注目を集めるようになった生乳をめぐる議論は、健康規制と個人の選択に関する疑問を投げかけている。
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マイケル・ペインの引用
- 『The Guardian』に語ったウェスタン食品安全・セキュリティ研究所の研究者でアウトリーチコーディネーターであるマイケル・ペイン氏は次のように述べている。 「低温殺菌を行わない場合、牛乳にはリステリア菌やサルモネラ菌、腎臓を損傷させる大腸菌(E. coli)が含まれる可能性があります。これらの問題は、生乳製品の消費によってほぼ毎年発生しています」
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生乳ルーレット
- 一部の人々が生乳の主張を推し進める一方で、専門家たちは明確に警告している。特に現在進行中の鳥インフルエンザの流行下で、生乳を摂取することは深刻な健康リスクを伴う危険な賭けであると。長年にわたり確立されてきた安全対策である低温殺菌は、食品由来の病気から公衆を守る上で不可欠である。
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- 生乳の宣伝に影響を受けている人は、そのリスクの大きさや主張されている利点の信頼性に疑問があることを理解することが重要だ。 出典: (The Guardian) (Forbes) (USA Today) (FDA) (CDC) (NPR) (Raw Milk Institute)
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生乳は飲むべき?知っておきたい事実
低温殺菌が健康を守る理由
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ウェルネス業界が新たなトレンドを生み出す際、ファッション業界並みに移り気であることが改めて証明された。牛から直接搾りたての生乳を飲むことを推奨する人々は、結果として自分たちの主張が裏目に出る形となっている。生乳を飲んで子どもが重い病気にかかった親たちが反対運動を展開しているにもかかわらず、健康志向の支持者たちはそれに耳を貸さず、生乳にはさまざまなメリットがあると主張し続けている。しかし今、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが全米の家禽や乳牛に広がる中で、生乳は再び注目の的となっている。
連邦保健当局は、低温殺菌された牛乳は引き続き安全に飲めると強調する一方、生乳を鳥インフルエンザの流行下で消費することは非常に危険で命に関わる可能性があると警告している。
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