減圧症とはどんな病気で、どのように起こるのか？ -

スキューバダイビングは、世界で最も人気のあるウォータースポーツのひとつです。Scubanomicsによると、世界には約600万人の活動的なスキューバダイバーがいて、カラフルなサンゴ礁や沈没した難破船を目指して潜ったり、多種多様な海洋生物と一緒に泳いだりしながら、海や大洋を探検します。しかし水中探検には危険もあり、少なくとも減圧症（DCS）と呼ばれる致命的な症状を引き起こす危険性があります。では減圧症とはいったい何なのでしょうか？

ギャラリーをクリックして、水中での冒険がどう緊急医療事態につながるのかをみていきましょう。

© Shutterstock

減圧症とは？ -

減圧症（DCS）とは、空気または水の圧力が急激に低下することによって引き起こされる傷害のことです。

© Shutterstock

どのように起こる？ -

減圧中、溶解ガスは体内組織や血管系で気泡となって溶液から発生します。

© Shutterstock

減圧症とは何？ -

減圧症は、スキューバダイビングや深海を潜るダイバーが水面へ早く上昇し過ぎた場合によく起こります。

© Shutterstock

ダイバーの呼吸 -

潜水中、ダイバーは周囲の水と同じ圧力の窒素ガスを含む圧縮された空気で呼吸します。

© Shutterstock

急上昇の危険性 -

ダイバーが水面まで上昇するのが早すぎる場合、つまり急に表面に浮上する場合、窒素は血液中や体の組織に小さな気泡を形成します。

© Shutterstock

浮上するのが早すぎる -

同様に、息を止めたまま急に水面へ浮上すると、周囲の圧が下がって肺が過度に膨張することがあります。

© Shutterstock

減圧症の影響 -

その結果、肺の小さな気嚢（肺胞）が破裂し、気泡が直接血液中に漏れ出てしまうのです。

© Shutterstock

動脈ガス塞栓症 -

この気泡が、体のさまざまな部分への血液の流れを妨げることで、動脈ガス塞栓症（AGE）として知られる非常に深刻な状態に陥ることがあります。

© Shutterstock

減圧症の身体への影響 -

気泡は身体のどの部分にも移動することがあるため、減圧症は多くの症状を引き起こす可能性があり、その影響は関節痛や発疹から麻痺、死に至るまでさまざまです。

© Shutterstock

「ベンズ」 -

通常、減圧症では膝や肘などの主要な関節に気泡が生じ、耐えがたい痛みで腰をかがめる体勢になることから、この症状は「ベンズ」と呼ばれています。

© Shutterstock

リスク要因 -

減圧症の症例の約60％から70％がベンズです。また、例えば心臓に欠陥がある場合、減圧症のリスクが高まります。

© Shutterstock

入水してはいけない時 -

脱水状態で入水すると、減圧症の発症を促します。肥満も同様です。

© Shutterstock

疲労と過労の危険性 -

疲れているときに潜るのは賢明ではありません。同様に、潜水中に無理をすると減圧症の危険性が高まります。

© Shutterstock

年齢の考慮 -

スキューバダイビングに年齢の上限はありません。しかし、年齢を重ねるにつれ、減圧症のリスクは高まります。

© Shutterstock

冷水でのダイビング -

低温で潜水すると、減圧症の危険をが増えます。比較的温かい状態であれば、ダイビングの上昇中や停止中に不活性気体の排出が促進されるため、全般的に急な圧力の低下は軽減します。しかしこの段階で冷水の場合、不活性ガスの排出を減少させたり、急な圧力の低下を長引かせる効果があるため、場合によっては圧力を増幅させます。

© Shutterstock

飛行リスク -

ダイビング後にすぐ飛行機に乗るのは危険です。Divers Alert Network（DAN）によると、1回の無減圧潜水では最低12時間、複数日にわたる反復潜水では最低18時間、強制減圧を伴う潜水や飽和潜水時のヘリオックスとトリミックスの使用（後述）後は48時間の水面休息をとることが推奨されています。

© Shutterstock

高度制限 -

高度が300mを超える航空便の場合、症状の再発を防ぐため、4～6週間は飛行を避けるべきです。

© Getty Images

飽和潜水 -

減圧症は、減圧の他の原因によっても生じます。これには飽和状態からの減圧も含まれます。プロのダイバーが引き受ける飽和潜水は、極限の深度での長時間作業を伴います。

© Shutterstock

娯楽でのダイビングの危険 -

ダイバーの血流は、ヘリオックスやトリミックスなど、入念に調合されたガスで満たされています、これは、周囲の水の圧力に耐え、減圧症を防ぐためです。もしこのマニュアルに従わなければ、減圧症を引き起こす可能性があるため、飽和潜水終了の合図があると、綿密に計画された減圧手順が始まります。

© Shutterstock

減圧症の指標 -

減圧症の症状は急に現れることがあります。疲労、脱力感、筋肉や関節の痛みが初期の指標です。

© Shutterstock

原因と結果 -

頭痛、ふらつき、めまい、混乱状態も減圧症の兆候です。

© Shutterstock

その他の一般的な症状 -

減圧症の他の一般的な症状には、複視などの視力障害、胃や胸の痛み、衝撃、めまいなどがあります。

© Shutterstock

応急処置 -

減圧症が疑われるダイバーは横たわったままにし、酸素があれば100％の酸素を投与してください。傷病者を水平に保つことで、気泡が脳に移動して状態が悪化するのを防ぎます。

© Shutterstock

高気圧酸素治療室 -

減圧症の最適な治療法は、高気圧酸素治療室を用いた再圧治療です。

© Shutterstock

再圧治療 -

高気圧酸素治療は、再圧治療としても知られており、通常の3倍の気圧がかかる密閉された部屋の中に患者を入れます。

© Getty Images

再圧治療は何をする？ -

高気圧酸素療法は、気泡を圧縮（収縮）させ、窒素が体外に排出される速度を高めます。そして、気泡による炎症を抑え、体組織と血管系への酸素供給を改善します。このプロセスは何日もかけて徐々に行われます。

© Shutterstock

減圧症の予防法 -

減圧症を防ぐため、厳密な減圧スケジュールを遵守しながら、ほとんどのダイバーは水面に上がる前に数分間安全停止をします。飽和潜水士は、潜水可能な高圧酸素室を利用して、潜水の途中での停止を回避します。

© Shutterstock

減圧症は予期せず起こることがある -

減圧症は、ダイブコンピューターやダイブテーブル（減圧表）の範囲内で潜水していても、また安全停止を完了していても、発症する可能性があることに注意が必要です。

© Shutterstock

運動をする習慣 -

減圧症の危険因子を認識するだけでなく、ダイバーは、一定レベルの体力を維持する必要があります。例えば、実際にダイビングに入水する前後の定期的な有酸素運動は、ダイバーの日課の一部であるべきです。

© Shutterstock

ダイバーの義務 -

現役のダイバーであれば、心身ともに十分な健康状態であることを確認してから、海に出ることが義務付けられています。

© Shutterstock

明確に -

基本的なルールを守り、許容できるリスクかを判断することで、スキューバダイバーはトラブルなく海中体験を楽しむことができます。

出典:(PADI)(DAN)(National Institutes of Health)(Harvard Health)(CDC)(Healthline) (Scubanomics)

© Shutterstock